十一月下旬。すっかり肌寒くなり、冬の訪れを感じ取るそんな放課後。
朝からザァザァと振り続ける雨は、止まる気配を知らない。
だから今日もどこかに立ち寄ることもなく、みんなと駅まで一緒に帰ろうとするが。靴箱の前で盛り上がっている三人は、スマホを見せ合いSNSの写真に盛り上がっていて帰る気配がない。
早く帰りたいという気持ちを押し込めて、ノリを合わせようとそれを取り出そうとした時、その異変に気付く。
スマホがない。
制服のポケット、スクールカバンの中を何度も探すも見当たらず、私はどんどん焦っていく。
「スマホをなくした」
本当はそう言いたかった。
だけど三人は、SNSの話で盛り上がっていて。
スマホを見せ合っていて。
だから、私は。
「ごめーん。スマホ忘れてきたみたい。だから、先帰ってて」
そう言い、教室に走って行く。
本当は助けて欲しいと言いたかった。
だけどそれを口にしたら。
どんな表情になるか分かっていたから、私は。
「はぁ、はぁ、はぁ」
階段を登り二年一組の教室に戻ってくると、そこには一人本を読んでいる麗華の姿。
一瞬、入室をためらってしまうが、スマホがないのは困る。だからそっと入り、自分の席の引き出しに手を突っ込み探すが見当たらない。
その瞬間、サァーと引いていく血の気。
スマホを失くしてしまった。やばい。どうしよう。
外から聞こえる程の大きな雨音が聞こえなくなるぐらい、私の精神状況は穏やかではなかった。
「スマホ……。スマホ……」
気付けばそう呟いていて、情けないことに泣きそうになってしまった。
朝からザァザァと振り続ける雨は、止まる気配を知らない。
だから今日もどこかに立ち寄ることもなく、みんなと駅まで一緒に帰ろうとするが。靴箱の前で盛り上がっている三人は、スマホを見せ合いSNSの写真に盛り上がっていて帰る気配がない。
早く帰りたいという気持ちを押し込めて、ノリを合わせようとそれを取り出そうとした時、その異変に気付く。
スマホがない。
制服のポケット、スクールカバンの中を何度も探すも見当たらず、私はどんどん焦っていく。
「スマホをなくした」
本当はそう言いたかった。
だけど三人は、SNSの話で盛り上がっていて。
スマホを見せ合っていて。
だから、私は。
「ごめーん。スマホ忘れてきたみたい。だから、先帰ってて」
そう言い、教室に走って行く。
本当は助けて欲しいと言いたかった。
だけどそれを口にしたら。
どんな表情になるか分かっていたから、私は。
「はぁ、はぁ、はぁ」
階段を登り二年一組の教室に戻ってくると、そこには一人本を読んでいる麗華の姿。
一瞬、入室をためらってしまうが、スマホがないのは困る。だからそっと入り、自分の席の引き出しに手を突っ込み探すが見当たらない。
その瞬間、サァーと引いていく血の気。
スマホを失くしてしまった。やばい。どうしよう。
外から聞こえる程の大きな雨音が聞こえなくなるぐらい、私の精神状況は穏やかではなかった。
「スマホ……。スマホ……」
気付けばそう呟いていて、情けないことに泣きそうになってしまった。