一週間後、僕たちは隣町の水族館の前で待ち合わせをしていた。先に着いた僕が携帯を触りながら一葉を待っていると、ポンッと肩を叩かれた。
「みーずきっ!おはよう!」
「一葉、おはよう」
一葉は前に会った時とは、また違う雰囲気の服を着ていた。動きやすそうだけど、可愛いらしい感じが一葉らしかった。
「一葉、その服似合ってる」
「瑞樹もその服似合ってるわ。やっぱり、服は好きなものを着るのが一番よね!」
その言葉と言い方があまりに想像通りで、僕はつい笑ってしまった。
「瑞樹?どうして笑ってるの?」
「ううん、なんでもない」
「なんでもないわけないでしょ!面白いことがあったらなら、私にも共有しなさい!」
そんな会話をしながら水族館に入れば、一面青の水槽に包まれていた。
「綺麗!あ、見て!あれ、エイじゃない!?」
一葉が楽しそうにはしゃいでいるのを見るだけで、僕も楽しくて仕方なかった。
「ちょっと瑞樹、ちゃんと見てる!?」
「はいはい、見てるよ」
「それは見てない人の反応じゃない!お互い、楽しんでこその天国ライフなんだからね!」
一葉はそう言いながら、僕を水槽の目の前まで連れて行く。そして、嬉しそうに魚達を指差しながら、話している。
「一葉」
「何?」
「本当に楽しい。連れて来てくれてありがとう」
「……瑞樹はなんでも恥ずかしがらずに言えるのが、長所よね」
「天国で恥ずかしがってたら、勿体無いだろ」
「ふふっ、それもそうね」
僕たちは水族館を一通り見て回った後、休憩するために水族館に設置されているベンチに腰掛けた。
「あ、そうだ。僕、一葉に見せたい写真があるんだった」
僕はそう言って、携帯に苺のパフェの写真を表示させる。他にも、この一週間で行った楽しいことの写真もある。
「ほら、これ最近行ったカフェで食べたパフェの写真」
「とっても美味しそう!」
「本当に美味しかったから、オススメ」
「瑞樹は甘いものが好きなの?」
「うん、大分甘党」
「本当!?私も甘いもの大好きなの!」
他の写真も見せながら、僕たちは一週間を振り返った。
「瑞樹は天国を楽しむのが上手いから、私も負けてられないわ……!」
「違うよ。一葉のおかげで僕は今を楽しめてるんだ」
「私のおかげ?」
「この世界を天国に変えてくれたのは、一葉だろう?」
「そうだけど、天国を楽しむ努力をしているのは瑞樹でしょ?」
一葉が心底不思議そうにそう答えるから、僕はつい笑ってしまった。
「一葉は優しすぎるよね」
「急に何!?」
「いや、感謝してもしたりないなぁって思っただけ」
一葉が僕の顔をじっと見つめた後、前を向く。
「私も瑞樹に感謝してる」
「僕に?」
「この世界をもっと楽しくしてくれたから。瑞樹と出会えて良かった」
お礼を言うのは僕の方なのに、一葉は何故か嬉しそうだった。
「さ!次はイルカショーを見ましょ!水族館に来て、イルカショーを見ないなんて邪道だわ!」
「あはは、了解。じゃあ、行こうか」
僕たちはその後、イルカショーを楽しんだ。正直、僕よりも一葉が楽しそうにしていて負けた気がしたけど、大丈夫。僕ももっとこの天国を楽しむ気が満々だから。
「はぁ、楽しかったー!」
「僕も楽しかった。ありがとう、一葉」
「じゃあ、次は瑞樹の番ね!やりたいことを考えておいて!」
「了解。また、考えとくよ」
その日も一葉を家まで送る。今日は、前よりも帰り道が短く感じた。
「じゃあ、またね、瑞樹」
「ああ、またな」
一葉を家に送った後には、もう日が暮れていた。空を見上げると、美しい月が輝いている。満月でもない普通の日の月。それでも、前より綺麗に見えるのだ。「またね」と言って別れる相手がいることも、幸せでないはずがない。
本当はないはずの時間。だからこそ、小さな幸せを見つけるのが得意になっていく。僕は急足で家に帰った。だって、したいことは沢山あるのだから。
「みーずきっ!おはよう!」
「一葉、おはよう」
一葉は前に会った時とは、また違う雰囲気の服を着ていた。動きやすそうだけど、可愛いらしい感じが一葉らしかった。
「一葉、その服似合ってる」
「瑞樹もその服似合ってるわ。やっぱり、服は好きなものを着るのが一番よね!」
その言葉と言い方があまりに想像通りで、僕はつい笑ってしまった。
「瑞樹?どうして笑ってるの?」
「ううん、なんでもない」
「なんでもないわけないでしょ!面白いことがあったらなら、私にも共有しなさい!」
そんな会話をしながら水族館に入れば、一面青の水槽に包まれていた。
「綺麗!あ、見て!あれ、エイじゃない!?」
一葉が楽しそうにはしゃいでいるのを見るだけで、僕も楽しくて仕方なかった。
「ちょっと瑞樹、ちゃんと見てる!?」
「はいはい、見てるよ」
「それは見てない人の反応じゃない!お互い、楽しんでこその天国ライフなんだからね!」
一葉はそう言いながら、僕を水槽の目の前まで連れて行く。そして、嬉しそうに魚達を指差しながら、話している。
「一葉」
「何?」
「本当に楽しい。連れて来てくれてありがとう」
「……瑞樹はなんでも恥ずかしがらずに言えるのが、長所よね」
「天国で恥ずかしがってたら、勿体無いだろ」
「ふふっ、それもそうね」
僕たちは水族館を一通り見て回った後、休憩するために水族館に設置されているベンチに腰掛けた。
「あ、そうだ。僕、一葉に見せたい写真があるんだった」
僕はそう言って、携帯に苺のパフェの写真を表示させる。他にも、この一週間で行った楽しいことの写真もある。
「ほら、これ最近行ったカフェで食べたパフェの写真」
「とっても美味しそう!」
「本当に美味しかったから、オススメ」
「瑞樹は甘いものが好きなの?」
「うん、大分甘党」
「本当!?私も甘いもの大好きなの!」
他の写真も見せながら、僕たちは一週間を振り返った。
「瑞樹は天国を楽しむのが上手いから、私も負けてられないわ……!」
「違うよ。一葉のおかげで僕は今を楽しめてるんだ」
「私のおかげ?」
「この世界を天国に変えてくれたのは、一葉だろう?」
「そうだけど、天国を楽しむ努力をしているのは瑞樹でしょ?」
一葉が心底不思議そうにそう答えるから、僕はつい笑ってしまった。
「一葉は優しすぎるよね」
「急に何!?」
「いや、感謝してもしたりないなぁって思っただけ」
一葉が僕の顔をじっと見つめた後、前を向く。
「私も瑞樹に感謝してる」
「僕に?」
「この世界をもっと楽しくしてくれたから。瑞樹と出会えて良かった」
お礼を言うのは僕の方なのに、一葉は何故か嬉しそうだった。
「さ!次はイルカショーを見ましょ!水族館に来て、イルカショーを見ないなんて邪道だわ!」
「あはは、了解。じゃあ、行こうか」
僕たちはその後、イルカショーを楽しんだ。正直、僕よりも一葉が楽しそうにしていて負けた気がしたけど、大丈夫。僕ももっとこの天国を楽しむ気が満々だから。
「はぁ、楽しかったー!」
「僕も楽しかった。ありがとう、一葉」
「じゃあ、次は瑞樹の番ね!やりたいことを考えておいて!」
「了解。また、考えとくよ」
その日も一葉を家まで送る。今日は、前よりも帰り道が短く感じた。
「じゃあ、またね、瑞樹」
「ああ、またな」
一葉を家に送った後には、もう日が暮れていた。空を見上げると、美しい月が輝いている。満月でもない普通の日の月。それでも、前より綺麗に見えるのだ。「またね」と言って別れる相手がいることも、幸せでないはずがない。
本当はないはずの時間。だからこそ、小さな幸せを見つけるのが得意になっていく。僕は急足で家に帰った。だって、したいことは沢山あるのだから。