【第二百五十八段】

 嬉しきもの。
 まだ見ぬ物語の、一を見て、「いみじうゆかし」とのみ思ふが残り、見出でたる。さて、心劣りするやうもありかし。
 人の()()てたる文を()ぎて見るに、おなじ続きを、あまた(くだり)見続けたる。