人生で一番つらいこと――それは人に憎まれることじゃないかと思う。

 どこのどんな変わり者だって、自分から「人に憎まれたい」と望んだりはしない。
 だけど、職場でも、あるいは親兄弟の間でも、愛される者と、愛されない者ができてしまうのは、胸に隙間風(すきまかぜ)が吹き込むような心地になる。
 家柄がよくて恵まれた人はもちろんのこと、庶民であっても、親たちが可愛がっている子どもは周囲の注目を集めるし、粗末に扱われることはない。見栄えのする子がチヤホヤされるのは当たり前のことだし、何の取り柄もない子だって、親であれば愛しく思うものだ。

 親にも、上司にも、付き合いのある人は誰でも、人に愛されるということほど素晴らしいことはない。