【第二百四十九段】 世の中に、なほいと心憂(う)きものは、人に憎まれむことこそあるべけれ。 誰てふもの狂ひか、われ「人にさ思はれむ」とは思はむ。されど、自然に、宮仕へ所にも、親・同胞のうちにても、想はるる・想はれぬがあるぞ、いとわびしきや。