跋文(ばつぶん)(あとがき)

 この造紙(さうし)、目に見え、心に思ふことを、「人やは見むとする」と思ひて、つれづれなる里居(さとゐ)のほどに、書き集めたるを、あいなう、人のために便(びん)なきいひ過ぐしもしつべきところどころもあれば、「よう隠し置きたり」と思ひしを、心よりほかにこそ、漏り出でにけれ。