ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ。
規則正しい音が聞こえる。
これは私の脈を取ってくれている音だろう。
目を閉じていても光を感じる。目は機能してくれているのかな?
私の手を握る優しい手。誰か分かるよ。
お母さんとお父さんだ。
手を握られるのなんて子供の時以来。普通、高校生の娘になんてしないよね?
「あかり」
私を呼ぶ声が聞こえる。
そうだ、私の名前は「あかり」だ。
元気で明るく、周りも明るく照らせる子。
そんな願いから名付けたと言っていたな。
ごめんね。そう、育たなくて……。
「伊藤さんが今日も来てくれたの。あかりに会いたいと言ってくれている。だから目を覚まして、ここを出ましょう」
お母さんが言うには、ここは集中治療室だから身内以外の面会は許可されていない。
だから、会いたかったら意識を取り戻して、容体を安定させないといけないらしい。
「今日も頑張りましょう」
そう言い、お母さんが私の足のマッサージをしてくれる。
目が覚めた後、歩けるようにだって。やめてよ、くすぐったいよ。
「ふふっ」
思わず足に力が入り、笑ってしまった。
その様子に、お母さんとお父さんが驚く。
「あかり! 分かるか! あかり!」
うん。分かるよ。さすがにお母さんとお父さんのことは忘れないよ。
「お願い目を覚まして!」
「あかり!」
お母さんとお父さんが、そう叫ぶ。
えー、どうしようかな?
……正直怖いんだよね、この世界で生きていくことが。また、誰かに傷付けられるかもしれないから。
『大丈夫だ。あかりを傷付ける奴が居たら、俺達がぶっ飛ばしてやるから! 宇宙の果てから駆けつけるからな』
『あかりには俺達が居る。ゆっくり目を開けろ。両親と伊藤さんがお前を待っているぞ』
『あかり、がんばれ。勇気を出せ!』
そう、宇宙人達は私を励ましてくれる。
そうだね。お母さんとお父さんの愛は、嫌ってぐらいに分かるし、伊藤さんも私に会いに来てくれるんだよね?
条件は意識が戻り、容体が安定し、集中治療室を出ることか。分かったよ。
宇宙人のみんな、ありがとう。見ててね。
私は目をゆっくり開ける。
眩しい蛍光灯の光が、あの日見た太陽のキラキラした輝きに見えた。
私は生きている。帰って来たんだ、こっちの世界に。
目の前には、泣いて喜ぶ両親の姿。
私はその手を強く握り締めた。
親不孝してごめんね。その分、これからは一生懸命生きていくからね。
私は両親に笑いかけ、そう誓った。