最期に見た夕陽が、君を優しく照らしてくれるなら

青春・恋愛

最期に見た夕陽が、君を優しく照らしてくれるなら
作品番号
1768176
最終更新
2025/12/07
総文字数
6,066
ページ数
1ページ
ステータス
未完結
いいね数
0
『お前は、ある人物の身代わりとなった。まもなく、死ぬ運命だ』
 漆黒の暗闇が広がる、虚無の空間。
 記憶も、肉体も、体の機能すらも失われた私は、死神を名乗る人物にそう告げられた。

 助かる方法はただ一つ。その人物を言い当て、「その命を返せ」と叫ぶこと。
 こうして始まる、死神の気まぐれという名のデスゲーム。命を賭けた戦いが。

1.期間は一ヶ月。10月12日から、11月12日の間。本来、死を遂げる予定だった人物の命日であり、私の命日になってしまう今日まで。
2.死神の力で、私が死ぬ一ヶ月前の時間に戻る。私の記憶は死神に奪われたままで、知っているのは名前と年齢。そして、私が生きてきた世界の常識。
3.私は過去の自分に関与は出来ず、幽霊みたいに後を付いていくことしか出来ない。その中で、死の運命を押し付けてきた人物を探しだす。
4.3回だけ、自分の体に取り憑くことができる。自由に行動が取れ、調査を許される。一回、一時間。死神の承認が必要。
5.3回だけ死神に質問ができる。死神が承認した問いだけ、偽りない答えが返ってくる。
6.死の運命を押し付ける条件は、互いに面識が必要。
7.死の運命を戻せる期間は一ヶ月、チャンスは一度だけ。タイムアウト、指名する人物を間違えたその瞬間、魂は握り潰されて死神の養分となる。

 こんな理不尽な話に、反発はできない。
 死神の手の平で転がされている私は、拒否した瞬間に死の運命が確定する。
 ゲームを受け入れられなければ死。間違えた瞬間に訪れるのも死。時間切れでも死。
 味方なんて誰も居ない。
 ここに感情論や、倫理観なんてない。
 生き残るか、消されるか、ただそれだけだ。

 開かれていた空間より放出される魂は、ただ流されるまま前へと進んでいく。


 私、篠崎茜は、いわゆる普通の女子高生だった。
 流行りのメイクをして、友達と学校に通って、SNS映えを意識して、推し活が好きな、今どきの16歳。……と、思いたかった。

 何か違和感を覚える毎日。不自然なSNSの書き込み。クローゼットの奥に厳重に仕舞ってある、ナンバーキー付きの箱。何かを隠し、誰かを忘れようとしている、過去の私。
 そんな私の後を付けてくる、男子高生。

 ねえ、教えて? 私は善人、悪人、どっちだったの?
 誰かに身代わりにされるぐらい、妬まれるような人間だったの?
あらすじ
篠崎茜、高校2年生。ある人物に「身代わり」にされ、まもなく死ぬ運命。
しかしその人物を言い当てたら運命を戻すと、死神の気まぐれという名のデスゲームを提案される。
茜は記憶を死神に奪われたまま、生きるためにその人物を模索し、その中で茜自身も秘密を抱えていたと知る。
真相に近づいていく中で、取り戻していく茜の記憶。変わっていく自分の世界。
茜色の夕陽に照らされる、運命の時。茜はただ、空を見上げていた。

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