陽介が出ていくと、木暮は立ち上がって藍の寝ているベッドのカーテンを開けた。そこには、先ほどと変わらず藍が眠っている。

「だ、そうだ」

 木暮が言うと、藍はゆっくりと目を開けて体を起こした。


「顔が赤いな。体温調整がうまくいってないのか」

 陽介にかけたのとは違う、からかうような声音に藍が頬をふくらませた。

「いじわる言わないでよ。……夕べの、見てたの?」

 ふ、と木暮が笑った。


「今のお前じゃなかったら、触れる前に殴ってた」

「陽介君、命拾いしたね」

 くすくす、と笑う藍の隣に、木暮が腰を下ろす。


「彼が、好きかい?」

「好きよ」

「平野や、こないだ一緒に動物園に行ったなんとかいう男よりも?」

 そう言われて、藍は少し考え込む。