「ショートしたからだ。病気ではない」

「ショートって。昨日も言ってましたけど、それじゃまるでロボットですよ」

「ロボットではない。AI搭載の精密人型アンドロイドだ」

 真面目な顔でいった木暮に、陽介は苦笑する。


「そういう話を聞くと、兄妹だなあ、って思います。木暮先生でも冗談を言うんですね。もっと怖い人かと思っていました」

「とっくに授業は始まっているが?」

「うちは自習です。保健室にいるって、クラスメイトには伝えてきました」

 そういうと陽介は、そこにあった椅子に勝手に座った。


「2年4組宇津木陽介、サボり、と」

 保健室の使用者名簿に書きもうとする木暮に、陽介は慌てる。

「あ、いえ、もう戻りますよ。藍が無事ならいいです」

「では、さっさと教室に戻りたまえ」

 そのまま立ち上がって部屋を出かけた陽介は、ふと足をとめた。しばらく考えたあと、もう一度木暮に向き直る。