昼間と違って、夜の藍は口数が少ない。夜空を見ている時はたいてい陽介がその時その時の天体や星座の話をしていることが多いが、藍はたまに相槌を打つくらいしか口を開かない。だからこんな風に沈黙が落ちることもしばしばだ。
けれど、そんな沈黙も、藍と一緒なら心地いいと陽介は思えた。
「えーと、藍?」
いまさら蒸し返すのも野暮な気がしたが、陽介はどうしても聞かずにはいられなかった。
「なに」
「その……今日みたいなことって、何度もあるのか?」
「今日みたいなこと?」
昼間と違って淡々とした声が返る。
「いわゆる、その、痴話げんかみたいな……」
言いかけて陽介は、恋人同士でないならあれは痴話げんかと言わないのかとしばし考える。
「ほら、近藤と言い争っていただろ。あんなふうに、男子と喧嘩することってあるのか」
「何度か」
半分予想はしていた答えだが、ざりざりとした嫌な気持ちが陽介を包む。
けれど、そんな沈黙も、藍と一緒なら心地いいと陽介は思えた。
「えーと、藍?」
いまさら蒸し返すのも野暮な気がしたが、陽介はどうしても聞かずにはいられなかった。
「なに」
「その……今日みたいなことって、何度もあるのか?」
「今日みたいなこと?」
昼間と違って淡々とした声が返る。
「いわゆる、その、痴話げんかみたいな……」
言いかけて陽介は、恋人同士でないならあれは痴話げんかと言わないのかとしばし考える。
「ほら、近藤と言い争っていただろ。あんなふうに、男子と喧嘩することってあるのか」
「何度か」
半分予想はしていた答えだが、ざりざりとした嫌な気持ちが陽介を包む。