「ち、違います! 俺は何もしてません!」
「女性を泣かすとは、お前、それ相応の覚悟はできているんだろうな」
目の座った木暮に、陽介に手を引かれて立ち上がった藍が口を挟む。
「本当だよ。陽介君は、助けてくれただけ。これは、違うの」
「こんな奴かばわなくても」
「信じて下さいよ! 何もしてませんってば!」
うさんくさげな視線を向けながら、木暮はそっと藍の腕をとる。
「具合悪そうだな。とりあえず保健室に行こうか」
「あ、うん。じゃあ、陽介君、ありがと。また明日」
「藍……」
「君も、用がないながら早く帰りたまえ」
陽介が声を掛けようとするが、木暮はにべもない言葉をかけると藍の手を引いて校舎へと向かう。
ちらちらとこっちを見ながら小さく藍が手を振った。釈然としない思いで、陽介もそれに手を振り返す。
(先生が一緒なら大丈夫だろうけど……なんだよ、あの二人)
何か言いたげな藍の視線が、陽介の瞳の奥に残った。
☆
「女性を泣かすとは、お前、それ相応の覚悟はできているんだろうな」
目の座った木暮に、陽介に手を引かれて立ち上がった藍が口を挟む。
「本当だよ。陽介君は、助けてくれただけ。これは、違うの」
「こんな奴かばわなくても」
「信じて下さいよ! 何もしてませんってば!」
うさんくさげな視線を向けながら、木暮はそっと藍の腕をとる。
「具合悪そうだな。とりあえず保健室に行こうか」
「あ、うん。じゃあ、陽介君、ありがと。また明日」
「藍……」
「君も、用がないながら早く帰りたまえ」
陽介が声を掛けようとするが、木暮はにべもない言葉をかけると藍の手を引いて校舎へと向かう。
ちらちらとこっちを見ながら小さく藍が手を振った。釈然としない思いで、陽介もそれに手を振り返す。
(先生が一緒なら大丈夫だろうけど……なんだよ、あの二人)
何か言いたげな藍の視線が、陽介の瞳の奥に残った。
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