「諒も泣くの?」

「そりゃもう、おいおいと。皐月より派手に泣いてやる」

「それじゃ、私が泣けないじゃない」

 そう言って笑うと、皐月は伸びをしながら立ち上がった。大きく息を吐くと、いつもの笑顔に戻って諒を振り返る。



「自販いこ? さぼりにつき合わせちゃったお礼に、ジュースでもおごるわ」

「やりい。じゃ、俺コーラ」

「おっけ。あ、私たち上履きだ。先生にみつからないようにしないと」

 諒も立ち上がると、先ほどより少しばかり足取りの軽くなった皐月のあとを、ゆっくりとついて行った。