「あの……さ、夕べ、小春霊園にいた?」

 すると木ノ芽は、少し考えるように首をかしげた後、目を細めて、ふふ、と笑った。

「内緒」

 両手で口元を隠すようにして、彼女は笑った。


 二人の様子を見ていた木ノ芽の両脇の女子が、からかうようにはしゃぐ。

「何、藍。ちょっと意味深」

「夕べってどういうこと? あやしー」

 いた、いない、の答えしか想像していなかった陽介は、予想外の女子たちの反応についていけずにあわてた。


「ごめん。木ノ芽さん、やっぱりなんでもない」

「それ」

 あわててその場を離れようとした陽介に、びし、と木ノ芽は人差し指をつきつけた。