「陽介は、皐月の事もちゃんと好きだよ」

 微笑む諒に、皐月は思い切り顔をしかめる。

「『も』、ね」

「あいつの好きは、万物平等だよ。そこで落ち込む必要はないさ」

 諒の骨ばった手が、優しく皐月の頭をなでた。慰められていることを感じて、ようやく皐月は口元を緩める。



「愚痴ってごめんね。あーあ。なんで諒にはあっさりとバレてるのに、肝心の陽介は気づかないのかなあ」

「それは……ほら。俺は敏感だから、わずかな変化にも気づくことができるんだよ」

「誰が敏感? ふふ。でも、ありがと、諒」

「あとでちゃんと、陽介に謝っておけよ」

「うん。ねえ、諒」

「ん?」

 皐月は、しっかりと体を起こして前を向いた。



「私、陽介にちゃんと告白する」

 諒が、こころもち皐月から離れて姿勢を正す。