授業に戻る気にはなれず、皐月はそのまま校舎を飛び出して中庭へと降りた。庭の奥の方には木立が広がって、中にはいくつかベンチが置いてある。昼時になれば、生徒がよくお弁当を食べている場所だ。



 その小道を皐月はとぼとぼと歩いて、一つのベンチに腰を下ろした。

「はあ……」

 あんなこと、言うつもりじゃなかった。

 皐月とて、藍のことが嫌いなわけじゃない。むしろ、思いのままにくるくると表情を変える藍は同性からみても魅力的でかわいく、好ましい友人だとすら思っていた。

 きっと陽介も、そう思っただろう。皐月や諒に対するように。