「起きろ、陽介」

「んあ?」

 ぽこんと頭を叩かれて、陽介は机から体を起こした。寝ぼけた目で見渡せば、休み時間になった教室は賑やかだった。


「あれ?」

「とっくに二時間目は終わったよ。休み時間の間寝かせといてやった俺に感謝しろ」

 陽介を覗き込んでいるのは、同級生の森塚諒だ。


「数学は?」

「終わったっちゅーに。次、地学。行くぞ」

「あー」

 まだぼんやりとしながら陽介は、カバンから地学の教科書を取り出す。


「昨日は、遅かったのか? また星、見に行っていたんだろ」

「うん。帰ったのは……十一時、だったかな」

 普段なら、平日に星を見に外出することはほどんどない。けれど夕べは、念願の望遠鏡を手に入れてうずうずしている状態での絶好の観測日和だったため、つい出かけてしまった。