「あれな。どうしようか」

「せっかく泊りがけなんだから多少夜遅くなってもいいんだもん。ここはやはりやるべきでしょう」

「やりたいんだけど、うちの学年、二人だけじゃん」

「人数は関係ないでしょ。部としての活動なんだから」

「場所はどうする? 泊まるの京都の駅前だろ? ホテルからじゃ星なんか見えないだろう」

「嵐山の方まで行ってみたら?」


 夜に出歩くことを陽介に反対されている皐月にとっては、めったにない機会ではある。もちろん、一緒に星空を見上げるのが一番の目的ではあるが、それ以外にも夜なりの夜景スポットなど陽介と行動できるならきっとなんでも思い出になると皐月は期待する。


「嵐山か」

 行ったことはないが、山の方なら場所によっては観測可能かもしれない。ちょうどしし座流星群が見ごろになる時期だから、修学旅行前後で自分でも観測自体はやるつもりだった。

 ただ、夏にやった観測会では、流星群という言葉に踊らされて部員たちをがっかりさせてしまった経験がある。陽介は慎重に聞いた。