「だからダメだって言ってるだろ。夜遅いんだから、女子が出歩く時間じゃない」

「陽介と一緒なら大丈夫だよ」

「たとえ俺が一緒でも、危ないことに変わりはない。だめったらだめ」


 言いながら、陽介の頭の中には白いワンピース姿が浮かぶ。

「俺がいない時にも一人で来ているんだろうか」

「ん? 何?」

 声に出ていたらしく、皐月が聞き返してきた。

「いや、なんでも」

 ぶう、とむくれた皐月はその顔のまま続けた。


「そういえば陽介、天文部で修学旅行の夜に観測会やるって話はどうなったの? 流星群があるんでしょ?」

 来月、陽介たち2年生は修学旅行を予定している。先日天文部で話をしている時に、活動計画としてそんな話をしたことを陽介は思い出した。