「藍? 別に仲いいってわけじゃないけど。皐月、知り合い? ああ、そっか。去年同じクラスだったっけ」

 1年の時は諒と皐月は同じクラスだったことを、陽介は思い出した。


「そんなとこ。……さっき、藍ちゃんを追いかけていったでしょ? 確か委員会が一緒だったよね。なにか連絡でもあった?」

 陽介の様子をうかがっていた皐月は、二人がなにやら仲よさそうに話しているのを見て怪訝に思った。他の女子ならそれほど気にもしないが、話していたのがよりにもよってあの木ノ芽藍だ。

 彼女のひとなつこさに裏表がないことを、皐月はよく知っている。けれどそれだけに、陽介が彼女に対してどういう思いを抱くかということが、とても気になる。


 陽介はそんな皐月の様子にはまったく気づかない。

「いや。天文部に誘ったんだ。星に興味ありそうだったから」

「藍ちゃんが星好きだなんて知らなかった。どこでそんなこと聞いたの?」

「んー……ちょっとね」

 なんとなく説明しづらくて、陽介はあいまいに答えると持ってきた星図表をファイルにしまった。