「昨日もらったテスト結果置いて出てきたから、帰ったらなんか言われるかもな。まあ、なんとかなるって」

 そんな様子に、あえて諒はそれ以上深くは踏み込まず軽く返した。



「そっか。皐月は、今日は天文部?」

「うん。諒は陸上、まだいいの?」

「臨時休部。なんか整備するとかで校庭使えないんだって。あーあ、仕方ない。一人寂しく帰るか」

 諒はおどけて言うと、じゃあな、と言って教室を出ていった。



「また明日ねー。陽介、行こ」

「ああ。……あ」

 ふいに陽介の視線が、廊下を横切っていく姿をとらえた。

「ごめん皐月、先行ってて」

「え、あ、ちょっと陽介!」

 走り出した陽介の先に誰がいるか理解した皐月は、わずかに眉をひそめた。



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