「遊びに行ってもデートしても、多分皐月にとってまだ俺は『仲のいい男友達』なんだと思う」

「でもそれさあ、はたからみたら付き合ってるのと同じじゃん」

「んー」

 諒は、からからとアイスコーヒーをかき混ぜる。



「皐月さ、高校の時に好きなヤツいたんだ」

「へえ。誰?」

「それは皐月に無断で言えないよ」

「あ、そっか」

「結局そいつには……あいつ、ふられちゃったわけだけど」

 陽介が眉をひそめた。



「俺が見ても、皐月ってかなりいい女だと思うぞ? あれをふる男がいるんだ」

「いたんだよ」

 諒は、苦笑しながら陽介を見た。

「しばらくはひきずってたけど、最近ようやくそいつのことふっきれたみたいなんだよな」

「それは、お前のおかげか?」

 意外なことを聞いたように、諒は目を瞬いた。