「まあそういうことだ。とにかく、その結果、本当ならもう一年、藍が高校を卒業するまでこのプロジェクトを続けるつもりだったが、とりあえず一度停止させてシステムの構築を見直すという結論になった」

 そう言った木暮のげんなりした表情に、陽介は硬い声で聞いた。



「この藍は、どうなるんですか?」

「記録のチップだけ取り出して廃棄する」

「廃棄って」

 陽介の顔色が変わる。

「言葉そのままの意味だよ。再利用という案もあったんだが」

 そこで木暮は不自然に言葉を止めた。



「……いや。幸いこの体はプロトタイプだ。すでにいくつかの体も用意されている」

 木暮は苦々し気に言って一気にコーヒーを飲み干した。

「この体は、分解して必要なものを取り出したら基本的には廃棄となる」

 陽介は立ち上がると、だん、と持ってたカップを机にたたきつける。

「なんでだよ!」

 表情を変えずに、木暮が陽介を見上げた。