仰向けに横たわった藍には、白いシーツがかけられていた。目を閉じたその頭部から、幾本ものケーブルが壁の機械に向かって繋がっている。
ゆっくりと近づいて覗き込むと、藍の顔は穏やかに眠っているように見えた。その体にかけられたシーツからは、むき出しの細い肩がはみだしている。
けれど、横になっている藍の頭は、半分ほどがぱかりと開いた状態になっていた。そこには、人の頭部にあるはずの肉や血管などはいっさい無く、ただ冷たそうな金属だけが覗いている。
あまりに非現実的な光景に、陽介は呆然とその場に立ち尽くした。
「今は授業中ではないのか?」
突然声をかけられて、陽介は飛び上がりそうになる。振り向くと、そこには白衣を着た木暮がいた。どうやら最初からそこにいたらしいが、陽介の目には藍しか映っていなかった。
「ああ、今日は振替休日だったな」
「木暮先生……これは?」
「もう俺は先生ではない」
持っていたカップを傾けながら、木暮は言った。
「その藍も、もう藍じゃない。ただのがらくただ」
ひゅ、と陽介が息を飲む。
ゆっくりと近づいて覗き込むと、藍の顔は穏やかに眠っているように見えた。その体にかけられたシーツからは、むき出しの細い肩がはみだしている。
けれど、横になっている藍の頭は、半分ほどがぱかりと開いた状態になっていた。そこには、人の頭部にあるはずの肉や血管などはいっさい無く、ただ冷たそうな金属だけが覗いている。
あまりに非現実的な光景に、陽介は呆然とその場に立ち尽くした。
「今は授業中ではないのか?」
突然声をかけられて、陽介は飛び上がりそうになる。振り向くと、そこには白衣を着た木暮がいた。どうやら最初からそこにいたらしいが、陽介の目には藍しか映っていなかった。
「ああ、今日は振替休日だったな」
「木暮先生……これは?」
「もう俺は先生ではない」
持っていたカップを傾けながら、木暮は言った。
「その藍も、もう藍じゃない。ただのがらくただ」
ひゅ、と陽介が息を飲む。