翌日は、修学旅行の振替休日だった。それほど早くないと思われる時間までじりじりと待ってから、陽介は藍の家を訪ねることにした。

 いつも望遠鏡を置いている四阿を背にして、陽介は舗装されていない細い坂道を上っていく。

 藍はこの先に家があると言っていた。



 朝、学校へ電話してみたが、木暮は休みだった。電話に出た事務員に藍の容体を聞こうと思ったが、知らないという答えだった。本当に知らないのか、それとも個人情報なのでおいそれと教えられないのかはわからない。やはり藍の様子を知るためには、家を訪ねるしかないと、陽介は家を出てきた。



 少し息を切らしながら歩いていくと、しばらくして建物が見えてきた。それは、陽介が想像していたような普通の家ではなく、コンクリート造りのさびれた趣の建物だった。

 屋根に多くのソーラーパネルが設置してあり、一見すると電気関係の施設のように見えた。ただ、建物の横に車が一台あった。ここが藍の家だとしたらおそらく木暮のものだろうが、陽介は木暮がどんな車に乗っているのかは知らなかった。とりあえず、誰かしらはいるようだ。