「なに?」

「陽介君、本当にそういうの好きなんだな、と思って」

 わずかな間のあと、陽介は笑った。

「うん、好きなんだ」

 星も。藍も。



「だめなの?」

「ん?」

「今から、宇宙関連の大学に行くのは、だめなの?」

「奇跡が起こるなら、藍は何を願う?」

 藍の問いには答えず、陽介は逆に藍に質問した。

「私は……」

 藍は、一度目を閉じて深呼吸をすると、ゆっくり目を開いた。



「陽介君と、恋がしたい」

 陽介は目をみひらく。短い沈黙が落ちた。

「すれば、いいじゃん」

 かすれた声で陽介が言うと、藍は小さく首を振った。

「できない」

「なんで」

「それは、奇跡、だから」

「そんなの全然奇跡じゃ」

「無理なの」

 陽介の言葉を遮って、藍が言った。