久しぶりに見た満面の笑顔に、陽介の胸が高鳴る。

 自分も空を仰ぐと、時間つぶしにとつらつら星の話を始めた。

「これからの季節だと、12月のふたご座流星群の方がたくさん見られる可能性はあるかもな。今日見ているしし座流星群はそれほど多い流星の数が見られるわけじゃないけれど、33年ごとに大流星雨を降らせたことで有名なんだ」

「しし座流星群の母天体であるテンペル・タットル彗星が33年回帰だからだよね」

 藍も、空を見上げたまま陽介の話にのってくる。



「そうそう。けれど、直近の33年目にあたる1999年は、それほどの流星群がみられなかったらしい。それよりも、2003年の方が、かなりの星が流れたんだって。記録にある限りで一番すごい1966年の時は、流星の光で外で新聞が読めたって話もある」

「そんな流星雨、見てみたいなあ」

「俺も。天体現象とわかっていても、実際目にしたらきっとまるで奇跡のような光景なんだろうな」

「奇跡かあ」

 藍が、ため息をついた。