がっくりしている陽介に、木暮は資料に目を落としながら続けた。

「まあ、誘ってみるといい。本人が行くというならとめないが」

「え、本当ですか?」

 兄である木暮が行くなら、藍も参加する気になるかもしれない。

 なんとか藍と直接話したい。

(このままなのは、絶対に嫌だ)



 陽介は、すこしばかりうなだれて呟いた。

「最近、藍に避けられてるんです」

「それだけのことをしたんだろう」

 しれっと木暮が言い返した。



「いや、まあ、それはそうかもですけど……でも、それだけじゃないような気がするんです」

「お前がそう思うならそうなんだろう」

「先生は藍から何か聞いていますか?」

「さあな」

「できれば、藍に謝りたいんですけど……」

「謝ったらいいだろう」

「全然顔を合わせてくれないんですよ」

「自分でどうにかしたまえ」

 木暮の口調は相変わらずにべもない。