予定では、天文部の活動として嵐山の高台にある公園で流星群の観測をすることになっている。

「で、帰りはタクシーを使っていいそうなので、11時前には戻る予定です」

「ふむ。時間も早いしあまり出現は期待できないが、遅くなることはできないから仕方がないな。おうし座流星群としし座流星群の二つの時期にあたっていても、大出現まで期待するのはさすがに無理というものか」

 呟いた木暮に、陽介は目を瞠った。



「先生、天体には詳しいんですか?」

 顔をあげた木暮は相変わらず無表情だった。

「一般的な知識に過ぎない」

「高木先生は流星群すらよくわかってませんでしたよ。もしかして、藍が星が好きなのは先生の影響ですか?」

 陽介は、つとめて明るく話を続けた。木暮は、そんな陽介をじっと見つめた後、書類の片づけを始める。



「かもしれないな。よく星空を見せてやったから」

「やっぱりそうなんですね。あの……明日の観測会、藍を誘ってもいいですか?」

「部員以外は参加不可だ」

 それは高木にも言われていた。予定では、就寝時間を大きく過ぎてしまうからだ。天文部の活動ということで、部員の陽介たちは特例扱いだ。