「鹿だ」
「鹿だね」
「鹿だわ」
「聞いてはいたけど、ここまで鹿だらけだとは思わなかった」
道にも公園にも、あちこちに鹿があふれている。平日にも関わらず、陽介たちのような修学旅行生や観光客で奈良公園はにぎわっていた。
二泊三日の修学旅行。行き先は修学旅行の王道、奈良京都だ。
初日、バスと新幹線を乗り継いで、全体行動の始まりは春日大社からだった。そこから歩いて興福寺へと向かう。
途中、奈良公園には紅葉したもみじがあちらこちらに見られ、まだ色づいていない緑と赤の対比が綺麗な色合いを見せていた。
その中で、まるでここの主であるかのようにたくさんの鹿たちがのんびりと過ごしている。
「なあなあ、あそこに鹿せんべい売ってる。食べさせてもいいかな」
諒がわくわくしながら財布に手を出しかけている。
「うん……」
「一枚いくらするんだろ。うまいのかな。人が食べてもいいのかな」
「うん……」
そう言っている間にも、別のクラスのお調子者がどうやら鹿せんべいを買ったらしい。みるみるうちに鹿に囲まれていく。
「鹿だね」
「鹿だわ」
「聞いてはいたけど、ここまで鹿だらけだとは思わなかった」
道にも公園にも、あちこちに鹿があふれている。平日にも関わらず、陽介たちのような修学旅行生や観光客で奈良公園はにぎわっていた。
二泊三日の修学旅行。行き先は修学旅行の王道、奈良京都だ。
初日、バスと新幹線を乗り継いで、全体行動の始まりは春日大社からだった。そこから歩いて興福寺へと向かう。
途中、奈良公園には紅葉したもみじがあちらこちらに見られ、まだ色づいていない緑と赤の対比が綺麗な色合いを見せていた。
その中で、まるでここの主であるかのようにたくさんの鹿たちがのんびりと過ごしている。
「なあなあ、あそこに鹿せんべい売ってる。食べさせてもいいかな」
諒がわくわくしながら財布に手を出しかけている。
「うん……」
「一枚いくらするんだろ。うまいのかな。人が食べてもいいのかな」
「うん……」
そう言っている間にも、別のクラスのお調子者がどうやら鹿せんべいを買ったらしい。みるみるうちに鹿に囲まれていく。