「星を見ている時もそうだけど、陽介君は私の知らないこと、知りたいことをそうやって教えてくれる。だから今、彼と一緒に星を見ている時間が、すごく好き。陽介君の声って、ちょっと低くて心地いいの。ずっと、聞いていたくなる。いろんな星の話をしてくれると、もっともっと、って聞きたくなる」

「彼にキスされて、嫌だった? それとも嬉しかった? 」

 藍は、再び真っ赤な顔になった。


「嫌じゃ、なかった。びっくりしただけ。節電モードだから興奮しちゃいけないって分かってるのに、ドキドキが止められなくて、あんなこと初めてで……なんか、ふわふわした気持ちで」

 言いかけて、藍は、ふと顔をあげた。

「これが、特別に好きってことなの? 陽介君が言ってた。私のこと友達や家族とは違う特別な好き、って。私も同じように、陽介君のこと好きなの?」

 木暮は、難しい顔でため息をついた。


「そうなんだろうな。人はそれを、恋と呼ぶらしい。よりにもよって、まさかお前が恋をするなんてね」

「恋って、言葉は知ってる。でも、これがそうなの? 私、陽介君に恋をしているってこと? だって」

 藍の顔が歪む。