「リザベッド様、ご婚約おめでとうございます」

「ありがとうございます」


 魔法使いが国外へ追放されてから数年。

 リザベッドは美しく成長し、少しずつ起きていられる時間が長くなってきました。

 起きている時間が長くなるということは、魔法使いがかけた呪いの力が弱まっているということ。

 もうすぐで姫にかけられた呪いが解けるのではないかと、国のみんなが未来への希望に喜びを抱いていたときのこと。


「はぁ」


 リザベッドは隣国の王子、セレストル・ザールとの婚約が決まったのです。


(大丈夫……打ち合わせは完璧……)


 王子との婚約が決まったということは、国にも家系にも繁栄が約束されたようなもの。

 誰もが王子とリザベッドの婚約を祝福した。

 誰もが、王子とリザベッドの幸せを願っていた。


「リザベッド様! なんてことを!」

「っ」

「王子! しっかりしてください!」

 
 だけど、リザベッドは裏切った。


「国の王子に怪我を負わせるなんて……」


 魔法使い様が教えてくれた魔法で、姫は婚約者の王子を焼き殺そうとした。


「婚約破棄だけでは済みません! これは国際問題に発展……」

「騒ぐな」

「王子!」


 そう。 

 これは、婚約を破棄してもらうための計画。

 自分を国外に追放してもらうため、リザベッドは多くの人たちに協力を求めていた。