決められた時間よりも少し早く決まりごとが終わって先生も満足そう。

「さすがね、片桐さん。本当にありがとう。」

「私は何もしてないですよ。すごいのはみんなです。」

にこにこと上機嫌な先生。先生に好かれることは悪いことではないので、ありがたくその上機嫌の対象になっておこうと思う。

やることがなくなってしまった教室はがやがやとにぎわっていた。

誰かが必ず誰かと話している。

ひとりを除いて。

矢崎さんとは逆の隅の席でイヤホンを耳にさしているのは小鳥遊(たかなし)君。

何の音楽を聴いてるんだろうな、なんて考えながら私は自分の席に戻る。

「あ、そういえば片桐さん。」

小走りで先生がこちらへ向かってくる。

固まっていた表情筋を無理やり動かして優等生の片桐さんが現れた。

「先生、何かありましたか?」

「実は、今日の放課後に生徒大会についての議長集会があるの。伝え忘れてたわ、よろしくね。」

「はい、任せてください」