「それじゃあ始めに書記を決めようと思います。やってくれる人いますか?」

当たり前だと思う。誰も手を上げないのは。

でも、誰か一人でもいい、やろうと思う気持ちを生み出すのも議長の役目だ。

どうやって協力してもらおうか。何を言ったらやってくれるだろう。

思考をめぐらせ言葉を紡ぐ。

「......書記は、大変な仕事かもしれません。大変だけど、目立たない仕事内容が多いです。だけど、大切な仕事です。書記の方と一緒に頑張っていきたいと思っています。やってくれる方、いませんか?」

どこにでもある、綺麗ごとを並べただけの中身のない文章をスラスラと読み上げる。

大体の人は、そんなきれいごと言ったって面倒くさいからやらない、と思う人がほとんど。

私が狙ったのは、そういう人たちではない。

クラスにかならず一人はいる正義感の強いきれいごとで心を動かされる、悪い言い方をすれば、『単純な人』。