ついさっき通ってきた廊下を引き返し、新校舎に戻る。

誰も使っていない印刷室に入ると、部長が呼んでいたのか三年生の先輩方がたくさんいた。

「神楽ちゃん、ここ座って。」

部長が椅子を用意してくれる。

ありがとうございます、と言って少しお辞儀をする。

背もたれがある椅子に背筋を伸ばして座る。先輩方が目の前にいるから、面接のようだ。

「神楽ちゃん、急に呼び出しちゃってごめんね?今後の写真部のことで任せたいことがあって。」

「私に、ですか?」

「うん、二年生はきっとやらないと思うからさ。」

呆れた顔で笑う部長が話し始めた。

「写真部って、毎年、部活動紹介の冊子を作ってるの。神楽ちゃんも配られてると思うんだけどね。あの冊子って、毎年6月くらいから撮影初めて、印刷と製本も全部やってるんだ。今年ももうそろそろ始めなきゃなんだけど、二年生の様子だとやらないと思うんだ。それで、神楽ちゃんにお願いしたいんだけど、いいかな?」

多分相当大変な仕事。

撮影から製本まで。0から100まですべてを写真部で作る。

複数人でやっても大変な仕事を、今年は私一人。

でも、少し興味はあった。私が写真部に入ったのは部活動紹介の冊子があったから。

あの冊子づくりに携わりたくて、写真部に入った。

お世話になった先輩のため。私が頑張ればそれでいいんだ。

「うまくいくかわからないけど、頑張ってみたいです。」

久しぶりに、本気で思える。

やってみたい、ひとりだったとしても、最高のものを作ってやる。

「ありがとう、神楽ちゃん。任せたよ。」

私が頑張ればいいんだ。