「韓媛、今日は本当に急な訪問で悪い。とりあえずお前が元気そうで良かった」
大泊瀬皇子は前回あんな恐ろしい事件を経験したというのに、全くいつもと変わらない感じに見える。
「はい、お陰さまで。ここの人達にもとても良くして下さって、本当に感謝してます。
でもまさか大泊瀬皇子がこの場所にこられるとは、少し意外でした……」
「前回は本当に色々と大変なことになってしまった。それでお前もかなり傷付いただろうから少し様子が気になってな」
韓媛はてっきり何か重い話でもあるのかと思って、少し緊張していた。だがどうやらその手の話ではなさそうだ。
「まぁ、もしかして私を心配してこられたのですか?」
(この人が私のお父様や眉輪様を自害に追いやったり、実の兄を殺した人だなんてとても想像できないわ)
「まぁ、他にも話したいこともあるにはあるのだが……まずはお前の様子を見ておこうと思った」
大泊瀬皇子は少しよそよそしくしながら彼女にそう告げる。
それを聞いた瞬間に韓媛は何だか拍子抜けしてしまった。
「私はてっきりもっと重い話をされにきたのかと思いました。
前回家に兵がたくさんきて、お父様達も自害することになったので。あの時は私も殺されてしまうのではと考えてましたから」
すると彼女の目から涙が出てきた。
あのまま父親を死なせてしまって、後悔がないといえば全く嘘になる。
あの時の父親の最後の顔は今でもはっきりと覚えていた。
だがそんな彼女を見ていた大泊瀬皇子はかなり驚く。まさか彼女がそんなことを思っていたとは全く想像していなかったようだ。
そして彼は彼女からそんなふうに思われていたことに対して、ひどく感情をむき出しにしていった。
「韓媛、お前何をいってるんだ! 俺がそんなことをする訳ないだろ!!」
大泊瀬皇子はそういって彼女を強引に抱き締めた。
(え、大泊瀬皇子!!)
韓媛は彼の余りの気迫に怖しさを感じ、思わず彼から離れようとする。
だが彼の力が強くて中々引き離すことができない。
「いいか、韓媛。俺はお前を見捨てるなんてことは絶対にしない」
彼のその言葉を聞いた時に、韓媛は生前の父親と最後に交わした時のことを思い出す。
あの時の父親も今の彼と同じことをいっていた。
「そういえば前回、あの炎の中で父の元に行った時に、父からも皇子と同じことをいわれました。皇子が私を見捨てることは絶対にしないと。それで詳しいことは皇子から直接聞くようにと」
(いけない、今までこの件のことをすっかり忘れていたわ……これは一体どういうことなのかしら?)
彼女の父親は大泊瀬皇子の一体何を思ってそう断言できたのだろうか。
というより、父親は大泊瀬皇子から何か聞いていたのかもしれない。
大泊瀬皇子は前回あんな恐ろしい事件を経験したというのに、全くいつもと変わらない感じに見える。
「はい、お陰さまで。ここの人達にもとても良くして下さって、本当に感謝してます。
でもまさか大泊瀬皇子がこの場所にこられるとは、少し意外でした……」
「前回は本当に色々と大変なことになってしまった。それでお前もかなり傷付いただろうから少し様子が気になってな」
韓媛はてっきり何か重い話でもあるのかと思って、少し緊張していた。だがどうやらその手の話ではなさそうだ。
「まぁ、もしかして私を心配してこられたのですか?」
(この人が私のお父様や眉輪様を自害に追いやったり、実の兄を殺した人だなんてとても想像できないわ)
「まぁ、他にも話したいこともあるにはあるのだが……まずはお前の様子を見ておこうと思った」
大泊瀬皇子は少しよそよそしくしながら彼女にそう告げる。
それを聞いた瞬間に韓媛は何だか拍子抜けしてしまった。
「私はてっきりもっと重い話をされにきたのかと思いました。
前回家に兵がたくさんきて、お父様達も自害することになったので。あの時は私も殺されてしまうのではと考えてましたから」
すると彼女の目から涙が出てきた。
あのまま父親を死なせてしまって、後悔がないといえば全く嘘になる。
あの時の父親の最後の顔は今でもはっきりと覚えていた。
だがそんな彼女を見ていた大泊瀬皇子はかなり驚く。まさか彼女がそんなことを思っていたとは全く想像していなかったようだ。
そして彼は彼女からそんなふうに思われていたことに対して、ひどく感情をむき出しにしていった。
「韓媛、お前何をいってるんだ! 俺がそんなことをする訳ないだろ!!」
大泊瀬皇子はそういって彼女を強引に抱き締めた。
(え、大泊瀬皇子!!)
韓媛は彼の余りの気迫に怖しさを感じ、思わず彼から離れようとする。
だが彼の力が強くて中々引き離すことができない。
「いいか、韓媛。俺はお前を見捨てるなんてことは絶対にしない」
彼のその言葉を聞いた時に、韓媛は生前の父親と最後に交わした時のことを思い出す。
あの時の父親も今の彼と同じことをいっていた。
「そういえば前回、あの炎の中で父の元に行った時に、父からも皇子と同じことをいわれました。皇子が私を見捨てることは絶対にしないと。それで詳しいことは皇子から直接聞くようにと」
(いけない、今までこの件のことをすっかり忘れていたわ……これは一体どういうことなのかしら?)
彼女の父親は大泊瀬皇子の一体何を思ってそう断言できたのだろうか。
というより、父親は大泊瀬皇子から何か聞いていたのかもしれない。