こうして稚沙と椋毘登の2人は、めでたく夫婦になる約束を交わすことができた。

 このまま何の問題ごともなく、婚姻が進むのか。
 それともまた新たな難題が、2人に降りかかるのか。
 それは当の本人たち次第である。


「ねえ、椋毘登。そういえば、蝦夷もめでたく婚姻の話が整ったようね」

「あぁ、そのようだな。それとあいつに息子が生まれたら、それが俺たちの次の代の蘇我の後継者だ」

「そっか、それは蝦夷も責任重大ね〜!」

「てか、稚沙。それは俺たちも一緒だろ?まぁ、それもなるようになるしかないか」

 そういって椋毘登は、その場に寝っ転がるかと思いきや、ちゃっかり稚沙の膝に頭をのっけてきた。

「大丈夫よ、椋毘登。もし何かあれば、額田部にきたら良いんだから!」

「いや、それは何となくないような気がする。とりあえずもう少し休憩したら、小墾田宮に戻るからな」

「もう椋毘登ったら!じゃあ、もうちょっとだけね」


 それから2人は、暫く周りの景色を眺めることにした。今日もここ飛鳥の地は、草木や花に覆われ、綺麗な光景を彼らに見せてくれている。

 それはうつし世の結びつきにより、運命づけられた2人が、この先も見続けていられる場所であるように。


end