「本当に大丈夫なんだろうか」
これが祟りなのか、それとも人の手による仕業なのか、今の時点ではまだどちらとも考えにくい。蝦夷も何とかするとはいっているが、解決のめどがまだ全然たってない状況の様子だ。にも関わらず自分には余り下手に動くなと釘まで打たれてしまった。
「それにしても蘇我って、本当に他から恨まれやすのね」
稚沙はその時ふと、以前に椋毘登の見たという1人の青年の夢の話を思いかえす。その後、彼自身からも何の聞かされてないので、彼女にはどうすることも出来ない。
「そういえば、あれからどうなったんだろう?椋毘登もその件に関しては何も話さないから......まぁ、今のところ本人に危害はなさそうけど」
恐らく何かあれば彼も自身に話してくれるに違いない。だがそれも無いということはきっと大丈夫ということなのだろう。
それに今はもっとやっかいな事件が起こっている。当然そちらの問題を解決することの方が、彼らには余程大事なはずだ。これは蘇我一族の存命にも関わることなのだから。
「でもこれが本当に祟りだったら、この国はどうなんだろう。それはとても困るわ」
その時ふと、今度は稚沙の脳に先日出会った青年の姿が浮かんできた。彼女が宮で迷子になった子供の父親を探している時に声を掛けられ、その彼のお陰で無事に子供の父親も見つけることができた。
「先日会ったあの男の子、確か中臣の者じゃなかったっけ?確か中臣御食子って名乗ってたっけ。それに年も割と近そうだったし」
仮にも彼が中臣氏の人間なら、今回の事件についても何かしら聞いているかもしれない。何せ小墾田宮にも顔を出しているぐらいなのだから。それならこの件に関する情報を彼が知っている可能性だって考えられる。
「今度会った際に、事件のことを少し聞いてみようかな。それぐらいならきっと大丈夫よね」
彼の名前はその時に聞けたのだが、それ以外のことは何も分からない。だがその時の様子からして、わりと気さくそうな性格だったので、彼女が普通に声をかけても良さそうな感じがする。
それから稚沙も自身の仕事場へ戻ることにした。早く戻らないと、また他の女官に何をいわれるか分からない。ここは早々と引き上げた方が良いだろう。
こうして彼女は駆け足で、その場を離れていった。
これが祟りなのか、それとも人の手による仕業なのか、今の時点ではまだどちらとも考えにくい。蝦夷も何とかするとはいっているが、解決のめどがまだ全然たってない状況の様子だ。にも関わらず自分には余り下手に動くなと釘まで打たれてしまった。
「それにしても蘇我って、本当に他から恨まれやすのね」
稚沙はその時ふと、以前に椋毘登の見たという1人の青年の夢の話を思いかえす。その後、彼自身からも何の聞かされてないので、彼女にはどうすることも出来ない。
「そういえば、あれからどうなったんだろう?椋毘登もその件に関しては何も話さないから......まぁ、今のところ本人に危害はなさそうけど」
恐らく何かあれば彼も自身に話してくれるに違いない。だがそれも無いということはきっと大丈夫ということなのだろう。
それに今はもっとやっかいな事件が起こっている。当然そちらの問題を解決することの方が、彼らには余程大事なはずだ。これは蘇我一族の存命にも関わることなのだから。
「でもこれが本当に祟りだったら、この国はどうなんだろう。それはとても困るわ」
その時ふと、今度は稚沙の脳に先日出会った青年の姿が浮かんできた。彼女が宮で迷子になった子供の父親を探している時に声を掛けられ、その彼のお陰で無事に子供の父親も見つけることができた。
「先日会ったあの男の子、確か中臣の者じゃなかったっけ?確か中臣御食子って名乗ってたっけ。それに年も割と近そうだったし」
仮にも彼が中臣氏の人間なら、今回の事件についても何かしら聞いているかもしれない。何せ小墾田宮にも顔を出しているぐらいなのだから。それならこの件に関する情報を彼が知っている可能性だって考えられる。
「今度会った際に、事件のことを少し聞いてみようかな。それぐらいならきっと大丈夫よね」
彼の名前はその時に聞けたのだが、それ以外のことは何も分からない。だがその時の様子からして、わりと気さくそうな性格だったので、彼女が普通に声をかけても良さそうな感じがする。
それから稚沙も自身の仕事場へ戻ることにした。早く戻らないと、また他の女官に何をいわれるか分からない。ここは早々と引き上げた方が良いだろう。
こうして彼女は駆け足で、その場を離れていった。



