雄朝津間皇子にそう言われたので、忍坂姫は稚田彦達を見た。
2人は今まさに剣を交わそうとしていた。
大炯は稚田彦の剣の構えを見て驚いた。彼から人としての感情が消えており、また心に一切乱れがないように思えた。
(この男、相当に手強そうだな)
そして大炯は、稚田彦に斬りかかりに行った。
稚田彦は大炯が来ると、ふらっと彼の剣をかわした。大炯はいきなり彼が横にそれたので慌てて足を止めた。
(何だ、今のは。しかも動きがかなり速かった)
そして再び彼に向き合った。今のは偶々なのだろうか。あんなに簡単に自分が避けられるとは思っても見なかった。
そして大炯は、再度稚田彦に向かって行った。
だが彼に剣を振りかざすも、簡単に剣を受け止められてしまう。
(くそ、一体どういう事だ。何故あんな簡単に剣を受け止められるんだ、この男は)
すると稚田彦は、まるで相手の動きを見切ったかのように、今度は自身が剣を大炯に向けて行った。
するとまた激しい剣のぶつけ合いの音が聞こえて来る。
だが剣の動きが稚田彦の方が早く、大炯は中々反撃が出来ないでいた。そして何とか剣を振りかざしたと思っても、あっさり彼に受け止められてしまう。
(ここは一旦後ろに下がろう……)
大炯はそう思って、一旦少し後ろに下がった。
稚田彦も一旦剣を振りかざすのを止めた。だが、彼の息は余り上がっていないように見えた。
忍坂姫はそんな稚田彦の戦いを見て、唖然としていた。雄朝津間皇子があれだけ苦労した相手に、全く苦戦していない。むしろ彼には余裕さえあるように見える。
そんな驚いた忍坂姫を横で見ながら雄朝津間皇子は言った。
「大和の大王や皇子は、その身分だけでも狙われる事がある。稚田彦は大王の側近としての任務する傍ら、大王の護衛もしているんだ。恐らく彼が大和の一族の中で一番最強だ」
忍坂姫はそんな雄朝津間皇子の説明を聞きながら、それでも信じられないと言った感じで彼を見ていた。
(まさか、彼がここまで強い人だったなんて……)
そんな稚田彦に大炯は尋ねた。
「ど、どうして、お前程の剣の実力の持ち主が、この国の王に仕えているんだ」
これだけの実力があれば、もっとその能力を活かす事だって出来るはずだ。
自分のいる半島の国なら、彼はかなり大きな功績を残せられるであろう。
そんな大炯の質問を聞いた彼は、ふと冷たい笑みを浮かべた。そして彼は右手に持った剣を真っ直ぐ前につき出した。
「どうして、俺が大和に仕えているかだって。答えは一つしかない。それは守りたい者がいるからだ」
そこには彼の断固たる意志があるように見えた。
(俺にとって、本当にかけがえのないあの人を守る為なら、何だってやれる)
2人は今まさに剣を交わそうとしていた。
大炯は稚田彦の剣の構えを見て驚いた。彼から人としての感情が消えており、また心に一切乱れがないように思えた。
(この男、相当に手強そうだな)
そして大炯は、稚田彦に斬りかかりに行った。
稚田彦は大炯が来ると、ふらっと彼の剣をかわした。大炯はいきなり彼が横にそれたので慌てて足を止めた。
(何だ、今のは。しかも動きがかなり速かった)
そして再び彼に向き合った。今のは偶々なのだろうか。あんなに簡単に自分が避けられるとは思っても見なかった。
そして大炯は、再度稚田彦に向かって行った。
だが彼に剣を振りかざすも、簡単に剣を受け止められてしまう。
(くそ、一体どういう事だ。何故あんな簡単に剣を受け止められるんだ、この男は)
すると稚田彦は、まるで相手の動きを見切ったかのように、今度は自身が剣を大炯に向けて行った。
するとまた激しい剣のぶつけ合いの音が聞こえて来る。
だが剣の動きが稚田彦の方が早く、大炯は中々反撃が出来ないでいた。そして何とか剣を振りかざしたと思っても、あっさり彼に受け止められてしまう。
(ここは一旦後ろに下がろう……)
大炯はそう思って、一旦少し後ろに下がった。
稚田彦も一旦剣を振りかざすのを止めた。だが、彼の息は余り上がっていないように見えた。
忍坂姫はそんな稚田彦の戦いを見て、唖然としていた。雄朝津間皇子があれだけ苦労した相手に、全く苦戦していない。むしろ彼には余裕さえあるように見える。
そんな驚いた忍坂姫を横で見ながら雄朝津間皇子は言った。
「大和の大王や皇子は、その身分だけでも狙われる事がある。稚田彦は大王の側近としての任務する傍ら、大王の護衛もしているんだ。恐らく彼が大和の一族の中で一番最強だ」
忍坂姫はそんな雄朝津間皇子の説明を聞きながら、それでも信じられないと言った感じで彼を見ていた。
(まさか、彼がここまで強い人だったなんて……)
そんな稚田彦に大炯は尋ねた。
「ど、どうして、お前程の剣の実力の持ち主が、この国の王に仕えているんだ」
これだけの実力があれば、もっとその能力を活かす事だって出来るはずだ。
自分のいる半島の国なら、彼はかなり大きな功績を残せられるであろう。
そんな大炯の質問を聞いた彼は、ふと冷たい笑みを浮かべた。そして彼は右手に持った剣を真っ直ぐ前につき出した。
「どうして、俺が大和に仕えているかだって。答えは一つしかない。それは守りたい者がいるからだ」
そこには彼の断固たる意志があるように見えた。
(俺にとって、本当にかけがえのないあの人を守る為なら、何だってやれる)