「じゃあ、まずは会ってみる事から始めましょう」

百師木姫(ももしきのひめ)忍坂姫(おしさかのひめ)にそう言った。

「そうね。まずは会わないと何も始まらないわ。でもそれ以前に大王や皇子はこの件、了承するの?」

そこに関しては忍坂姫にはどうする事も出来ない。

また自分達が知らないだけで、雄朝津間皇子(おあさづまのおうじ)の妃を誰にするか、もう既に決められてる可能性だってある。

「まぁ、そこはお父様に頑張ってもらいましょう!娘の嫁ぎ先が掛かってるのだから」

百師木姫も何だかとても楽しそうだと、忍坂姫は自分の母親を見て思った。

(まぁ、その段階を突破しないと何も始まらないし……)




その後その話しを聞いた稚野毛皇子(わかぬけのおうじ)は、早速大王にこの話しを持っていった。


それから暫くして大王から返事が帰って来て、意外にも大王もこの婚約の件を了承したとの事だった。

さらに2人の意思を尊重し、まずは会ってみる所から始める形で良いとも言ってくれた。

(下手したら強制的に嫁がされるかとも心配してたけど、思いのほか大王はお優しいのね)

忍坂姫はそんな瑞歯別大王(みずはわけのおおきみ)の心遣いに、とても感謝した。


そしてこれから、着々とその準備が勧められる事になった。