「さてと、雄朝津間皇子がいなくなったので、とりあえずこの近くを探ってみよう。鏡に映っていた青年を探さないと」
彼女はそう思うと、その場所から離れる事にした。
花の咲いている場所を出た所は、小道になっていたのだが、そこを歩いている青年に彼女は思わずぶつかってしまった。
すると、彼の持っていた荷物がその場に落ちて散らばってしまった。
(しまった!私とした事が)
忍坂姫は慌ててその場に座り込み、その場の荷物を拾っていった。
そして拾い終えると、それをその青年に渡した。
「本当に、ごめんなさい」
彼女は本当に申し訳ない気持ちで、その青年に謝った。
それからふと彼の顔を見て思わずハッとした。
(あの、鏡に映っていた青年と同じ顔だわ)
そこには忍坂姫が先日鏡で見た青年が立っていた。恐らく農民のようだが、そこまでみすぼらしい格好はしていない。
顔立ちも割りと整っていて、それなりの好青年に見える。
そんな彼は忍坂姫にじーと顔を見られて思わず動揺した。
何故この娘は自分の事をずっと見ているのだろうか。
そして青年は少し顔を赤くしながら、忍坂姫に言った。
「あの~済みません。僕の顔に何かありますか?」
それを聞いた忍坂姫は思わず「はっ」とした。
(やだ私ったら。初対面の人に対してなんて事を……)
彼女は慌てて、その青年から離れた。
「ごめんなさい。特に深い意味はなくて」
そして彼女は再度彼を見た。
とりあえず彼の方も、そこまで気にしている感じではなさそうだった。
「えぇーっと、あなたはこの辺りに住んでる方かしら。私は人に付き添ってもらって、ここの花を見にきていたの」
それを聞いた青年は「あぁ、なる程ですね」と言って、手元の荷物を確認しながら、彼女に言った。
「あなたも何か用事だったのかしら」
忍坂姫は彼にそう尋ねた。
「はい、そうなんです。今日はそこの日田戸祢様の家に行く予定なんです。そこの娘とは幼なじみでして、彼女が体調を崩したと聞いてお見舞いも兼ねて」
青年はにっこり笑って、忍坂姫にそう説明した。この青年はどうも真面目でとても優しそうに見える。
(わざわざお見舞いに来るなんて。これは可能性ありそうね)
忍坂姫は余り時間がなく、雄朝津間皇子が戻ってくるまでに話しを終える必要があった。なので、ここはもう直球で行く事にした。
「それは確か千佐名って名前の娘よね。あなたは彼女の事が好きなの?」
忍坂姫にいきなりそんな事を言われて、彼はかなり動揺した。
「えぇ~!そ、そんな僕はただ彼女の事が心配で」
そう言うなり、彼は顔をひどく赤くした。
それを見た忍坂姫は何とも性格の分かりやすい青年だなと思った。
そして彼女は思わずクスクス笑ってしまった。こんな純粋な青年を見たのは久々だ。
「あ、ごめんなさいね。ついつい笑ってしまって。あなたは思っている事が凄く顔に出ていて、とても分かりやすいものだから」
それから忍坂姫は、彼の話しを聞いてみる事にした。
彼女はそう思うと、その場所から離れる事にした。
花の咲いている場所を出た所は、小道になっていたのだが、そこを歩いている青年に彼女は思わずぶつかってしまった。
すると、彼の持っていた荷物がその場に落ちて散らばってしまった。
(しまった!私とした事が)
忍坂姫は慌ててその場に座り込み、その場の荷物を拾っていった。
そして拾い終えると、それをその青年に渡した。
「本当に、ごめんなさい」
彼女は本当に申し訳ない気持ちで、その青年に謝った。
それからふと彼の顔を見て思わずハッとした。
(あの、鏡に映っていた青年と同じ顔だわ)
そこには忍坂姫が先日鏡で見た青年が立っていた。恐らく農民のようだが、そこまでみすぼらしい格好はしていない。
顔立ちも割りと整っていて、それなりの好青年に見える。
そんな彼は忍坂姫にじーと顔を見られて思わず動揺した。
何故この娘は自分の事をずっと見ているのだろうか。
そして青年は少し顔を赤くしながら、忍坂姫に言った。
「あの~済みません。僕の顔に何かありますか?」
それを聞いた忍坂姫は思わず「はっ」とした。
(やだ私ったら。初対面の人に対してなんて事を……)
彼女は慌てて、その青年から離れた。
「ごめんなさい。特に深い意味はなくて」
そして彼女は再度彼を見た。
とりあえず彼の方も、そこまで気にしている感じではなさそうだった。
「えぇーっと、あなたはこの辺りに住んでる方かしら。私は人に付き添ってもらって、ここの花を見にきていたの」
それを聞いた青年は「あぁ、なる程ですね」と言って、手元の荷物を確認しながら、彼女に言った。
「あなたも何か用事だったのかしら」
忍坂姫は彼にそう尋ねた。
「はい、そうなんです。今日はそこの日田戸祢様の家に行く予定なんです。そこの娘とは幼なじみでして、彼女が体調を崩したと聞いてお見舞いも兼ねて」
青年はにっこり笑って、忍坂姫にそう説明した。この青年はどうも真面目でとても優しそうに見える。
(わざわざお見舞いに来るなんて。これは可能性ありそうね)
忍坂姫は余り時間がなく、雄朝津間皇子が戻ってくるまでに話しを終える必要があった。なので、ここはもう直球で行く事にした。
「それは確か千佐名って名前の娘よね。あなたは彼女の事が好きなの?」
忍坂姫にいきなりそんな事を言われて、彼はかなり動揺した。
「えぇ~!そ、そんな僕はただ彼女の事が心配で」
そう言うなり、彼は顔をひどく赤くした。
それを見た忍坂姫は何とも性格の分かりやすい青年だなと思った。
そして彼女は思わずクスクス笑ってしまった。こんな純粋な青年を見たのは久々だ。
「あ、ごめんなさいね。ついつい笑ってしまって。あなたは思っている事が凄く顔に出ていて、とても分かりやすいものだから」
それから忍坂姫は、彼の話しを聞いてみる事にした。