「とりあえず、まだ日数があるから、もう少し様子を見て貰えないだろか。俺も弟が変わってくれるのを期待したい」
瑞歯別大王が思うに、弟がこの娘に対して全く関心がないとは流石に考えにくいと感じた。なので、もう少し時間が立てばそれもはっきりしてくるだろう。
「分かりました。ではそのようにしてみます。大王わざわざ話しを聞いて下さり、有り難うございます」
忍坂姫は大王にそう言った。確かに雄朝津間皇子も、若干だが変わってきてる感もある。もう少し様子を見てみる事にしよう。
そしてその後大王は「じゃあ俺は家臣を待たせてあるから」と言い、そのままその場を去っていた。
忍坂姫は改めて桜の木々を見た。
桜は満開で、本当に春の訪れを表しているようだ。だがそんな桜の花が咲き誇るのは、ほんのわずかな間だけで、その後直ぐに散ってしまう。
そのわずかな期間の為だけに、毎年桜は花を咲かすのだ。
それを人は美しいと思い、そして皆その光景に魅了される。
自分の淡い恋心も、いずれこの桜の花のように散ってしまうのだろうか。
そして彼女がこの小高い山を降りると、そこに1人の青年が立っていた。
良く見ると、それは雄朝津間皇子だった。
「あれ、雄朝津間皇子。待っていてくれたんですか?」
他の人達はどうやら先に宮に戻って行ったようだ。そんな中、何故彼が帰らずに待っていたのだろうか。
「大王との話しは終わったんだろう。今さっき大王と会ったよ」
彼は少しぶっきらぼうな感じで彼女に言った。
「はい、今回この宮に来たのは大王の提案でしたから。そのお礼とその他諸々のお話しをしていました」
雄朝津間皇子はそれを聞くと、彼のそばにいた馬に乗るよう彼女に催促する。
「帰りはこの馬で一緒に帰ろう。その為に君を待っていた」
彼はそう言うと、先に忍坂姫を馬に乗せ、それから自身も乗った。
すると辺りから風が吹いてきて、桜の花びらが空を舞っていく。
忍坂姫はそんな光景にふと見惚れた。
「桜の花が咲くのってほんの一瞬だけど、だからこそそんな一瞬の為に、美しく咲き誇れるのかもしれない」
雄朝津間皇子がふとそんな事を言った。
忍坂姫は思わず雄朝津間皇子に持たれて、そんな彼の言葉を聞いていた。
(本当に皇子の言う通りね……)
2人は暫く無言で、そんな桜の花びらを見ていた。
そして風も止んだ頃、皇子はやっとこさ馬を走らせだした。
「雄朝津間皇子、どうして皇子がここで待っていたんですか?」
忍坂姫はふと自分の後ろにいる彼に聞いた。
「君が大王と話しがしたいと言ったから、ちょっと気になってね。それに宮に君を1人で帰らせるのも心配だったから」
雄朝津間皇子は彼女にそれだけを話した。
そして彼は少しだけ、自身を彼女の体に近づけた。
瑞歯別大王が思うに、弟がこの娘に対して全く関心がないとは流石に考えにくいと感じた。なので、もう少し時間が立てばそれもはっきりしてくるだろう。
「分かりました。ではそのようにしてみます。大王わざわざ話しを聞いて下さり、有り難うございます」
忍坂姫は大王にそう言った。確かに雄朝津間皇子も、若干だが変わってきてる感もある。もう少し様子を見てみる事にしよう。
そしてその後大王は「じゃあ俺は家臣を待たせてあるから」と言い、そのままその場を去っていた。
忍坂姫は改めて桜の木々を見た。
桜は満開で、本当に春の訪れを表しているようだ。だがそんな桜の花が咲き誇るのは、ほんのわずかな間だけで、その後直ぐに散ってしまう。
そのわずかな期間の為だけに、毎年桜は花を咲かすのだ。
それを人は美しいと思い、そして皆その光景に魅了される。
自分の淡い恋心も、いずれこの桜の花のように散ってしまうのだろうか。
そして彼女がこの小高い山を降りると、そこに1人の青年が立っていた。
良く見ると、それは雄朝津間皇子だった。
「あれ、雄朝津間皇子。待っていてくれたんですか?」
他の人達はどうやら先に宮に戻って行ったようだ。そんな中、何故彼が帰らずに待っていたのだろうか。
「大王との話しは終わったんだろう。今さっき大王と会ったよ」
彼は少しぶっきらぼうな感じで彼女に言った。
「はい、今回この宮に来たのは大王の提案でしたから。そのお礼とその他諸々のお話しをしていました」
雄朝津間皇子はそれを聞くと、彼のそばにいた馬に乗るよう彼女に催促する。
「帰りはこの馬で一緒に帰ろう。その為に君を待っていた」
彼はそう言うと、先に忍坂姫を馬に乗せ、それから自身も乗った。
すると辺りから風が吹いてきて、桜の花びらが空を舞っていく。
忍坂姫はそんな光景にふと見惚れた。
「桜の花が咲くのってほんの一瞬だけど、だからこそそんな一瞬の為に、美しく咲き誇れるのかもしれない」
雄朝津間皇子がふとそんな事を言った。
忍坂姫は思わず雄朝津間皇子に持たれて、そんな彼の言葉を聞いていた。
(本当に皇子の言う通りね……)
2人は暫く無言で、そんな桜の花びらを見ていた。
そして風も止んだ頃、皇子はやっとこさ馬を走らせだした。
「雄朝津間皇子、どうして皇子がここで待っていたんですか?」
忍坂姫はふと自分の後ろにいる彼に聞いた。
「君が大王と話しがしたいと言ったから、ちょっと気になってね。それに宮に君を1人で帰らせるのも心配だったから」
雄朝津間皇子は彼女にそれだけを話した。
そして彼は少しだけ、自身を彼女の体に近づけた。