その後も桜見物が続いている時だった。瑞歯別大王がある事を閃いた。
「忍坂姫。君の父上から聞いたんだが、君は何でも舞が得意だそうだな。なので、今この場で少し見せて貰えないだろうか」
(え、この場で舞を?)
忍坂姫は急な瑞歯別大王からの要望に驚いた。確かに舞はできるが、今日はそんな事は考えもしていなかった。
(確かに、桜の咲いてるこの時期に舞を舞ってみたいとは思っていたけれど……)
「え、忍坂姫。君舞なんて出来るのか?」
雄朝津間皇子もこの話しは初耳だったようで、少し意外に思えた。
彼の中では未だに忍坂姫はお転婆娘の扱いのようで、そんな彼女が舞を舞うなんて思っても見なかったようだ。
(雄朝津間皇子、その顔は私が舞なんて全く出来ないと思っていた顔ね)
「へぇ~忍坂姫、舞が出来るんだ。僕も忍坂姫の舞を見てみたい」
市辺皇子は相変わらず愛らしい表情でそう言った。
忍坂姫はどうしようかと一瞬考えた。
今日の桜見物は瑞歯別大王が企画された事で、舞はそんな大王の要望だ。
ここは感謝の気持ちも込めて舞をさせて頂こう。彼女はそう思う事にした。
「分かりました、瑞歯別大王。ではお言葉に甘えて、ここで舞をやらせて頂きます。少し準備しますので、少々お待ち頂けますでしょうか」
「あぁ、分かった。急なお願いで済まないね」
瑞歯別大王はそう彼女に答えた。
こうして暫くして忍坂姫は舞の準備が整った。
舞自体は音が無くても舞えるが、今日は人が見ている為、楽器の代わりに自身の歌声で音を出す事にした。
忍坂姫は皆の前に出ていく。
(大丈夫よ。この桜が咲く中で、春の訪れを想って舞わらせて頂こう)
そして深呼吸をして、自身の気持ちを落ち着かせる。
そして忍坂姫を漂う空気が変わった丁度その時だった。
彼女は「すぅー」と自身の声を発した。
その声は本当に透き通っていて、とても繊細な音を奏だした。
そして彼女の足が動き出す。繊細な歌声と共に、自身の軽やかな動きに合わせて舞が始まった。
春の訪れを、今心から恋願う。
いにしえの時を巡りて、再び舞い戻る。
春の女神よ、人々に喜びを分け与えて。
永遠の花の種が、命を繋ぎ、そして実りを宿す。
神を恋し、人々の安らぎを、それが春の風となって。
忍坂姫は舞を踊りながら、心の中で春の神への想いを歌った。
そんな彼女の舞は見る人皆を魅了した。
「ほぉーこれは中々だな……」
瑞歯別大王は彼女の舞を見てそう思った。
そして、彼は彼女の舞を見ながら横にいる雄朝津間皇子に言った。
「舞とは、舞う者の内面性がそのまま表れると聞く。これだけ繊細な舞が踊れると言う事は、それだけ彼女の心が繊細で、とても澄みきっているのだろう。
そして彼女は、春の訪れを想いながら舞っている」
だがそんな大王の話しなど、皇子には全く入ってきていなかった。
彼は、彼女から目を離す事が出来なくなっていた。
「なんて美しいんだ、本当に春を彩る花の女神が降り立ったようだ」
雄朝津間皇子は、完全に忍坂姫の舞に心を奪われてしまう。
そして舞をまう彼女は、他のどの女性よりも美しいと彼は思った。
「これは、コノハナサクヤヒメ……」
こうして、その後に忍坂姫の舞は終わりを告げた。
「忍坂姫。君の父上から聞いたんだが、君は何でも舞が得意だそうだな。なので、今この場で少し見せて貰えないだろうか」
(え、この場で舞を?)
忍坂姫は急な瑞歯別大王からの要望に驚いた。確かに舞はできるが、今日はそんな事は考えもしていなかった。
(確かに、桜の咲いてるこの時期に舞を舞ってみたいとは思っていたけれど……)
「え、忍坂姫。君舞なんて出来るのか?」
雄朝津間皇子もこの話しは初耳だったようで、少し意外に思えた。
彼の中では未だに忍坂姫はお転婆娘の扱いのようで、そんな彼女が舞を舞うなんて思っても見なかったようだ。
(雄朝津間皇子、その顔は私が舞なんて全く出来ないと思っていた顔ね)
「へぇ~忍坂姫、舞が出来るんだ。僕も忍坂姫の舞を見てみたい」
市辺皇子は相変わらず愛らしい表情でそう言った。
忍坂姫はどうしようかと一瞬考えた。
今日の桜見物は瑞歯別大王が企画された事で、舞はそんな大王の要望だ。
ここは感謝の気持ちも込めて舞をさせて頂こう。彼女はそう思う事にした。
「分かりました、瑞歯別大王。ではお言葉に甘えて、ここで舞をやらせて頂きます。少し準備しますので、少々お待ち頂けますでしょうか」
「あぁ、分かった。急なお願いで済まないね」
瑞歯別大王はそう彼女に答えた。
こうして暫くして忍坂姫は舞の準備が整った。
舞自体は音が無くても舞えるが、今日は人が見ている為、楽器の代わりに自身の歌声で音を出す事にした。
忍坂姫は皆の前に出ていく。
(大丈夫よ。この桜が咲く中で、春の訪れを想って舞わらせて頂こう)
そして深呼吸をして、自身の気持ちを落ち着かせる。
そして忍坂姫を漂う空気が変わった丁度その時だった。
彼女は「すぅー」と自身の声を発した。
その声は本当に透き通っていて、とても繊細な音を奏だした。
そして彼女の足が動き出す。繊細な歌声と共に、自身の軽やかな動きに合わせて舞が始まった。
春の訪れを、今心から恋願う。
いにしえの時を巡りて、再び舞い戻る。
春の女神よ、人々に喜びを分け与えて。
永遠の花の種が、命を繋ぎ、そして実りを宿す。
神を恋し、人々の安らぎを、それが春の風となって。
忍坂姫は舞を踊りながら、心の中で春の神への想いを歌った。
そんな彼女の舞は見る人皆を魅了した。
「ほぉーこれは中々だな……」
瑞歯別大王は彼女の舞を見てそう思った。
そして、彼は彼女の舞を見ながら横にいる雄朝津間皇子に言った。
「舞とは、舞う者の内面性がそのまま表れると聞く。これだけ繊細な舞が踊れると言う事は、それだけ彼女の心が繊細で、とても澄みきっているのだろう。
そして彼女は、春の訪れを想いながら舞っている」
だがそんな大王の話しなど、皇子には全く入ってきていなかった。
彼は、彼女から目を離す事が出来なくなっていた。
「なんて美しいんだ、本当に春を彩る花の女神が降り立ったようだ」
雄朝津間皇子は、完全に忍坂姫の舞に心を奪われてしまう。
そして舞をまう彼女は、他のどの女性よりも美しいと彼は思った。
「これは、コノハナサクヤヒメ……」
こうして、その後に忍坂姫の舞は終わりを告げた。