翌日の朝、磐余稚桜宮は慌ただしく動いていた。
近くの山に桜を見に行くのだが、その際一緒に簡単な食事とお酒も持って行くようで、宮の使用人達は忙しく働いていた。
忍坂姫は市辺皇子と一緒にそんな光景を呆然と見ていた。
「ねぇ、忍坂姫。なんか皆忙しそうだね」
市辺皇子は忍坂姫の横に座っていた。朝の食事は既に済ませており、準備も終わっている。なので後は出発を待つだけとなっていた。
ちなみにこの2人は徒歩で向かう予定だ。
「仕方ないわ。皆私達の為に準備してくれてるんだから。それに今日は大王も来られるし」
市辺皇子は「ふーん」と聞いていた。彼的には早く向かいたいみたいで、足をぶらぶらさせていた。
「じゃあ、阿佐津姫も来るのかな~」
忍坂姫は始めて聞く名前だった。もしかすると、大王の家族か親戚のうちの誰かなのだろうか。
「市辺皇子、阿佐津姫って誰の事?」
忍坂姫は市辺皇子に聞いた。
「あぁ、大王の子供だよ。僕よりも小さいよ」
それを聞いて忍坂姫は思い出した。確か瑞歯別大王には4歳になる女の子がいると、以前雄朝津間皇子が言っていた。4歳なら市辺皇子よりも確かに小さい。
父親同士が兄弟なので、市辺皇子から見たら阿佐津姫は従姉妹になるはずだ。
「へぇーそうなの。ねぇ、市辺皇子。その阿佐津姫ってどんな女の子なの。可愛い?」
忍坂姫は気になって聞いてみた。大王の妃はとても綺麗な女性と昔親から聞いていた。そして大王もとても凛々しい方との事。なのでその姫もさぞ可愛い姫なのだろう。
「何か凄い生意気だよ。そのくせ大人には凄い甘えん坊で。僕はあんまり好きじゃない」
そう言って市辺皇子はムスッとした。
いくら親戚と言えど、男の子と女の子では少々打ち解けにくい事もあるのだろう。
それに市辺皇子は既に親を失くしている。もしかすると、そこら辺も関係してくるのかもしれない。
(もしかして、市辺皇子が大王夫婦の元に行きたがらなかったのも、阿佐津姫の事があったからなのかしら。何分繊細な問題ね)
市辺皇子はそう言うと、忍坂姫の膝の上に寝そべってきた。
そんな市辺皇子が可愛いなと思って見ていると、伊代乃が彼女達の元にやって来た。
「すみません。忍坂姫に市辺皇子。もう少しで準備が終わりますので」
どうやら出発が近くなったので、自分達に声を掛けに来たんだろう。
伊代乃は忍坂姫の付き添いと言う事で、今日は同行する事になっている。
「えぇ、分かったわ。そう言えば大王達はもう来られたの?」
きっと大王達は馬でここまで来るはずだから、桜の側まではそのまま馬で行くのだろうか。
「瑞歯別大王達はこの宮には寄らず、直接行かれるそうです。なのでもしかすると既に到着されてるかもしれませんね。雄朝津間皇子達は一足先に馬で向かわれてますし」
先程から雄朝津間皇子の姿は全く見当たらなかった。彼がいなかったのはそのためだったようだ。
「じゃあ、そろそろ私達も出発になるのね」
忍坂姫は、自分の膝の上に寝そべってる市辺皇子を起こした。
皇子は忍坂姫の膝の上が気持ち良かったのか、ちょっとウトウトし出していた。
「市辺皇子、もうすぐ出発だから寝ないで」
忍坂姫にそう言われて、市辺皇子は必死で眠気を追いやった。
こうして、忍坂姫達も瑞歯別大王や雄朝津間皇子達のいる場所へと向かった。
近くの山に桜を見に行くのだが、その際一緒に簡単な食事とお酒も持って行くようで、宮の使用人達は忙しく働いていた。
忍坂姫は市辺皇子と一緒にそんな光景を呆然と見ていた。
「ねぇ、忍坂姫。なんか皆忙しそうだね」
市辺皇子は忍坂姫の横に座っていた。朝の食事は既に済ませており、準備も終わっている。なので後は出発を待つだけとなっていた。
ちなみにこの2人は徒歩で向かう予定だ。
「仕方ないわ。皆私達の為に準備してくれてるんだから。それに今日は大王も来られるし」
市辺皇子は「ふーん」と聞いていた。彼的には早く向かいたいみたいで、足をぶらぶらさせていた。
「じゃあ、阿佐津姫も来るのかな~」
忍坂姫は始めて聞く名前だった。もしかすると、大王の家族か親戚のうちの誰かなのだろうか。
「市辺皇子、阿佐津姫って誰の事?」
忍坂姫は市辺皇子に聞いた。
「あぁ、大王の子供だよ。僕よりも小さいよ」
それを聞いて忍坂姫は思い出した。確か瑞歯別大王には4歳になる女の子がいると、以前雄朝津間皇子が言っていた。4歳なら市辺皇子よりも確かに小さい。
父親同士が兄弟なので、市辺皇子から見たら阿佐津姫は従姉妹になるはずだ。
「へぇーそうなの。ねぇ、市辺皇子。その阿佐津姫ってどんな女の子なの。可愛い?」
忍坂姫は気になって聞いてみた。大王の妃はとても綺麗な女性と昔親から聞いていた。そして大王もとても凛々しい方との事。なのでその姫もさぞ可愛い姫なのだろう。
「何か凄い生意気だよ。そのくせ大人には凄い甘えん坊で。僕はあんまり好きじゃない」
そう言って市辺皇子はムスッとした。
いくら親戚と言えど、男の子と女の子では少々打ち解けにくい事もあるのだろう。
それに市辺皇子は既に親を失くしている。もしかすると、そこら辺も関係してくるのかもしれない。
(もしかして、市辺皇子が大王夫婦の元に行きたがらなかったのも、阿佐津姫の事があったからなのかしら。何分繊細な問題ね)
市辺皇子はそう言うと、忍坂姫の膝の上に寝そべってきた。
そんな市辺皇子が可愛いなと思って見ていると、伊代乃が彼女達の元にやって来た。
「すみません。忍坂姫に市辺皇子。もう少しで準備が終わりますので」
どうやら出発が近くなったので、自分達に声を掛けに来たんだろう。
伊代乃は忍坂姫の付き添いと言う事で、今日は同行する事になっている。
「えぇ、分かったわ。そう言えば大王達はもう来られたの?」
きっと大王達は馬でここまで来るはずだから、桜の側まではそのまま馬で行くのだろうか。
「瑞歯別大王達はこの宮には寄らず、直接行かれるそうです。なのでもしかすると既に到着されてるかもしれませんね。雄朝津間皇子達は一足先に馬で向かわれてますし」
先程から雄朝津間皇子の姿は全く見当たらなかった。彼がいなかったのはそのためだったようだ。
「じゃあ、そろそろ私達も出発になるのね」
忍坂姫は、自分の膝の上に寝そべってる市辺皇子を起こした。
皇子は忍坂姫の膝の上が気持ち良かったのか、ちょっとウトウトし出していた。
「市辺皇子、もうすぐ出発だから寝ないで」
忍坂姫にそう言われて、市辺皇子は必死で眠気を追いやった。
こうして、忍坂姫達も瑞歯別大王や雄朝津間皇子達のいる場所へと向かった。