「い、痛いな」
その結果、雄朝津間皇子は思いっきり床に頭をぶつけてしまった。
「お、皇子、一体何をなさるんですか!」
忍坂姫は余りの事に、自分の体を抱きしめてから彼に言った。
「だって、俺が近付いても君が全然抵抗しそうになかったから。てっきり同意の元かと思ったんだよ」
皇子は、ぶっきらぼうにそう言った。彼からしてもこんなに女性から拒否されたのは初めてだった。
「だからって、やって良い事ではないでしょう!」
忍坂姫は思わず涙をにじませていた。
彼女からすれば、男性との口付けなんて今までした事がなかった。
一方の皇子は頭を抱えながら彼女に言った。
「とりあえず、悪かったって。はぁ、君はお転婆というか、ちょっとじゃじゃ馬のようだね」
(な、何ですって……)
それを聞いた忍坂姫はだんだんと怒りが込み上げてきた。
「それは、悪かったですね。こんな娘は皇子の好みにはさぞ合わないんでしょうね」
そんな言い方をされた雄朝津間皇子は、呆れた感じで言った。
「そうだね。俺は君みたいな女の子じゃなくて、もっと控えめで従順な子が好きだな」
一体何で自分はこんな娘に手を出してしまったんだろう。これでは大王の思うつぼである。
そしてそんな彼がふと忍坂姫を見ると、彼女は酷く傷付いたような表情をしていた。
そして目からポロポロと涙を流し出した。
皇子もそんな彼女を見て、流石にまずいと思った。
「あぁ、ごめん。今のは俺もちょっと言い過ぎたよ」
雄朝津間皇子は思わず忍坂姫に歩み寄ろうする。だが忍坂姫は、そんな彼の手を払いのけた。
「もう、お願いですから、部屋から出て行って下さい」
彼は彼女にそう言われて、何だか頭を殴られたような感覚になった。
「おい、ちょっと待てって!」
それでも忍坂姫は皇子を拒みたいらしく、大きな声で叫んだ。
「もう、あなたなんか嫌いです!!出て行って!!!」
そこまで言われてしまうと、彼も何も反論が出来ず「分かったよ」と言って立ち上がり、そのまま部屋を出ていった。
皇子が部屋から居なくなると、忍坂姫はその場でワンワンと泣き出した。
皇子からしたら、自分はその辺の村の娘以下なのかも知れない。
(やっぱり、こんな婚姻は初めから無理だったんだわ)
それから彼女は涙が枯れるぐらいまで泣き続けた。
その頃、雄朝津間皇子は彼女の部屋からだいぶ離れた所まで来て立ち止まった。
そして思いっきり壁を叩いた。
「くそ、何でこうなるんだよ!」
彼は、こんなに1人の女性に対して訳のわからない感情を抱いたのは始めての事だった。何とも悲しいやら悔しいやら、酷く心が痛いと思った。
そして、そのまま彼は自分の部屋へと戻って行った。
その結果、雄朝津間皇子は思いっきり床に頭をぶつけてしまった。
「お、皇子、一体何をなさるんですか!」
忍坂姫は余りの事に、自分の体を抱きしめてから彼に言った。
「だって、俺が近付いても君が全然抵抗しそうになかったから。てっきり同意の元かと思ったんだよ」
皇子は、ぶっきらぼうにそう言った。彼からしてもこんなに女性から拒否されたのは初めてだった。
「だからって、やって良い事ではないでしょう!」
忍坂姫は思わず涙をにじませていた。
彼女からすれば、男性との口付けなんて今までした事がなかった。
一方の皇子は頭を抱えながら彼女に言った。
「とりあえず、悪かったって。はぁ、君はお転婆というか、ちょっとじゃじゃ馬のようだね」
(な、何ですって……)
それを聞いた忍坂姫はだんだんと怒りが込み上げてきた。
「それは、悪かったですね。こんな娘は皇子の好みにはさぞ合わないんでしょうね」
そんな言い方をされた雄朝津間皇子は、呆れた感じで言った。
「そうだね。俺は君みたいな女の子じゃなくて、もっと控えめで従順な子が好きだな」
一体何で自分はこんな娘に手を出してしまったんだろう。これでは大王の思うつぼである。
そしてそんな彼がふと忍坂姫を見ると、彼女は酷く傷付いたような表情をしていた。
そして目からポロポロと涙を流し出した。
皇子もそんな彼女を見て、流石にまずいと思った。
「あぁ、ごめん。今のは俺もちょっと言い過ぎたよ」
雄朝津間皇子は思わず忍坂姫に歩み寄ろうする。だが忍坂姫は、そんな彼の手を払いのけた。
「もう、お願いですから、部屋から出て行って下さい」
彼は彼女にそう言われて、何だか頭を殴られたような感覚になった。
「おい、ちょっと待てって!」
それでも忍坂姫は皇子を拒みたいらしく、大きな声で叫んだ。
「もう、あなたなんか嫌いです!!出て行って!!!」
そこまで言われてしまうと、彼も何も反論が出来ず「分かったよ」と言って立ち上がり、そのまま部屋を出ていった。
皇子が部屋から居なくなると、忍坂姫はその場でワンワンと泣き出した。
皇子からしたら、自分はその辺の村の娘以下なのかも知れない。
(やっぱり、こんな婚姻は初めから無理だったんだわ)
それから彼女は涙が枯れるぐらいまで泣き続けた。
その頃、雄朝津間皇子は彼女の部屋からだいぶ離れた所まで来て立ち止まった。
そして思いっきり壁を叩いた。
「くそ、何でこうなるんだよ!」
彼は、こんなに1人の女性に対して訳のわからない感情を抱いたのは始めての事だった。何とも悲しいやら悔しいやら、酷く心が痛いと思った。
そして、そのまま彼は自分の部屋へと戻って行った。