「本当に七支刀(しちしとう)があったな」

雄朝津間皇子(おあさづまのおうじ)は刀を布に戻して、それを持ったまま部屋の中から出てきた。

「おい、椋垣(くらかき)。どうしてこれがここにあるんだ」

雄朝津間皇子ははっきりと分かるように、布から剣を取り出して彼に見せた。

物部椋垣は皇子に剣を見せられて、酷く動揺した。

「お、皇子。私は何も知りません!!恐らく誰かが勝手に持ち込んだのではと」

それを聞いた皇子は、少し怪しい笑みを見せて言った。

「椋垣、確かこの部屋はお前個人の物置部屋だと以前言っていたな。なのでこの部屋には他の人間は基本入らせないようにしてるんじゃなかったか?」

それを聞いた物部椋垣は体から冷や汗が流れて来た。そして酷くガクガクと震えだして、その場に座り込んでしまった。


結局その後、物部椋垣は取り調べを受ける事になった。
だが自分は盗んでいないと訴え続けた。でも彼の部屋から剣が見つかったのは事実だったので、今回の剣の騒動についての責任は、全て彼が取らされる事になった。

そして物部伊莒弗(もののべのいこふつ)は無事に解放される事となった。

忍坂姫もその知らせを雄朝津間皇子から聞いて本当に良かったと心から思った。
やはりあの鏡に映っていたのは真実だったのだ。