それを聞いた忍坂姫は思わずぼろぼろと泣き出してしまった。
「お、忍坂姫、そんなに君は俺の事が嫌なのか?」
雄朝津間皇子は彼女が急に泣き出したので、とても慌てだした。
それを聞いた忍坂姫は思わずブンブンと頭を振った。
「違うの。皇子が一番好きなのは佐由良様で、この先もそれはずっと変わらないと思ってました。でもそんなの私には耐えられないと思って」
彼はそれを聞いて思った。
彼女が自分との婚姻を断った理由はこの事だったのかと。であれば彼女が大王に言っていた事と一致する。
「私、最初盗賊に襲われそうになって助けて貰った時から、あなたに惹かれていました。でもあなたは私との婚姻は考えていないと初め言っていたから、私の事なんて好きじゃないとも思っていたの」
彼はこの事を聞いてかなりの衝撃を受けた。彼女の事は自分の勝手な片思いとばかりずっと思っていた。
(忍坂姫、今君が言った事は本当なのか……)
「忍坂姫、それじゃあ君は俺の妃になってくれるのか?」
雄朝津間皇子は再度聞いた。彼女にこんな事を言われては、もう引き下がる訳にはいかない。
しかし、それを聞いた忍坂姫は想わずハッとした。
「そうだわ。その事で私皇子に言いたい事があって」
「え、言いたい事?」
皇子は思わず不思議そうな顔をした。
「皇子が私1人を愛すると言ってくれたのは本当に嬉しいです。でもあなたは大和の皇子で、そして私も皇女です。
なので不測の事態に陥った時の事も考えないといけません」
「忍坂姫、一体何を言ってるんだ」
皇子はいきなり彼女にそんな事を言われて、もしやこれは大和の後継者問題の事かと思った。
「はい、あなたが生涯妃を無理に1人に絞らなくても良いのではと。
確かに今の大王は佐由良様1人を大事にされています。でも本当にどうする事も出来なくなって、他の妃を娶ったとしても、彼を批判するつもりはありません」
「なるほど、つまり君は大和王権存続の為であれば、複数の妃を娶る事も容認すると言うのか?」
「それはあくまで最終手段です。要は大王のように、佐由良様を大切にしたいという思いが大事だと思いました。
それに今後どうなるかはまだ分かりません。それについては、これから皆で一番納得出来る方法を探していけたらと……」
ここに来てだんだんと彼女の意図する事の意味が分かってきた。
「本当に君は、凄い事を言うね」
雄朝津間皇子はそんな彼女に対してとても感心した。
「皇子、私こう見えても皇女ですから。
でもだからといって、あちらこちらの娘に好き勝手に手を出されるのは嫌です。それで良のであれば、私あなたの妃になります」
忍坂姫は彼を見つめてそう笑顔で言った。
彼はそれだけ言って貰えたらもう満足に思えた。本当になんて頼もしい姫なのだろう。
「あぁ、それは約束する。それと君の事はどんな結果になっても、一生涯愛すると誓うよ」
今の忍坂姫には、その彼の言葉だけで十分だと思った。
「でも、皇子。そのう、葛城の皇子には何て言ったら良いのか……」
忍坂姫は、雄朝津間皇子との事で、うっかりその事を忘れていた。
「あぁ、それなら問題ない。ここに来る前に、君に婚姻の承諾を貰えたら、葛城の皇子の事は無かった事にしてもらうよう大王に言い付けてきたよ」
「え、大王に!?」
忍坂姫は、あの大王にそんな事を言っていたのかと少し驚いた。
「あぁ、今回は大王に責任を取って貰って無かった事にしてもらう。大王もその件に関しては了承している。だから君が心配する必要は無いよ」
(瑞歯別大王には、また何て申し訳無い事をさせてしまうのだろう)
「そ、そうですか……」
忍坂姫は、次回大王に会う事があったら絶対にこの件について謝ろうと思った。
「お、忍坂姫、そんなに君は俺の事が嫌なのか?」
雄朝津間皇子は彼女が急に泣き出したので、とても慌てだした。
それを聞いた忍坂姫は思わずブンブンと頭を振った。
「違うの。皇子が一番好きなのは佐由良様で、この先もそれはずっと変わらないと思ってました。でもそんなの私には耐えられないと思って」
彼はそれを聞いて思った。
彼女が自分との婚姻を断った理由はこの事だったのかと。であれば彼女が大王に言っていた事と一致する。
「私、最初盗賊に襲われそうになって助けて貰った時から、あなたに惹かれていました。でもあなたは私との婚姻は考えていないと初め言っていたから、私の事なんて好きじゃないとも思っていたの」
彼はこの事を聞いてかなりの衝撃を受けた。彼女の事は自分の勝手な片思いとばかりずっと思っていた。
(忍坂姫、今君が言った事は本当なのか……)
「忍坂姫、それじゃあ君は俺の妃になってくれるのか?」
雄朝津間皇子は再度聞いた。彼女にこんな事を言われては、もう引き下がる訳にはいかない。
しかし、それを聞いた忍坂姫は想わずハッとした。
「そうだわ。その事で私皇子に言いたい事があって」
「え、言いたい事?」
皇子は思わず不思議そうな顔をした。
「皇子が私1人を愛すると言ってくれたのは本当に嬉しいです。でもあなたは大和の皇子で、そして私も皇女です。
なので不測の事態に陥った時の事も考えないといけません」
「忍坂姫、一体何を言ってるんだ」
皇子はいきなり彼女にそんな事を言われて、もしやこれは大和の後継者問題の事かと思った。
「はい、あなたが生涯妃を無理に1人に絞らなくても良いのではと。
確かに今の大王は佐由良様1人を大事にされています。でも本当にどうする事も出来なくなって、他の妃を娶ったとしても、彼を批判するつもりはありません」
「なるほど、つまり君は大和王権存続の為であれば、複数の妃を娶る事も容認すると言うのか?」
「それはあくまで最終手段です。要は大王のように、佐由良様を大切にしたいという思いが大事だと思いました。
それに今後どうなるかはまだ分かりません。それについては、これから皆で一番納得出来る方法を探していけたらと……」
ここに来てだんだんと彼女の意図する事の意味が分かってきた。
「本当に君は、凄い事を言うね」
雄朝津間皇子はそんな彼女に対してとても感心した。
「皇子、私こう見えても皇女ですから。
でもだからといって、あちらこちらの娘に好き勝手に手を出されるのは嫌です。それで良のであれば、私あなたの妃になります」
忍坂姫は彼を見つめてそう笑顔で言った。
彼はそれだけ言って貰えたらもう満足に思えた。本当になんて頼もしい姫なのだろう。
「あぁ、それは約束する。それと君の事はどんな結果になっても、一生涯愛すると誓うよ」
今の忍坂姫には、その彼の言葉だけで十分だと思った。
「でも、皇子。そのう、葛城の皇子には何て言ったら良いのか……」
忍坂姫は、雄朝津間皇子との事で、うっかりその事を忘れていた。
「あぁ、それなら問題ない。ここに来る前に、君に婚姻の承諾を貰えたら、葛城の皇子の事は無かった事にしてもらうよう大王に言い付けてきたよ」
「え、大王に!?」
忍坂姫は、あの大王にそんな事を言っていたのかと少し驚いた。
「あぁ、今回は大王に責任を取って貰って無かった事にしてもらう。大王もその件に関しては了承している。だから君が心配する必要は無いよ」
(瑞歯別大王には、また何て申し訳無い事をさせてしまうのだろう)
「そ、そうですか……」
忍坂姫は、次回大王に会う事があったら絶対にこの件について謝ろうと思った。