翌日、忍坂姫は稚田彦に雄朝津間皇子の宮まで、馬で送ってもらう事になった。
「それにしても、稚田彦は本当に剣が強いのね。昨日は別人のように見えました」
忍坂姫は昨日の彼の戦いぶりには本当に度肝を抜かれた。あの雄朝津間皇子が全く敵わなかった相手を、割りと余裕で倒せたのだから。
「まぁ、私の人生も色々ありましたからね。生きていく上で必要だったんです」
前回稚田彦の兄の話しもあったので、きっとこの人も色々とあったのだろう。
「そう言えば、あの大炯と言う人と戦っている時に、自分には守りたい人がいるとか言ってませんでした?あれは、誰の事だったんですか?」
彼は大炯との戦いの時に、自分には守りたい人がいると言っていた。あの言い方からして、瑞歯別大王の家臣だからと言う訳ではなさそうだ。
「あぁ、あれの事ですね。それは私の家族の事ですよ。私には妻と、5歳と3歳になる男の子が2人いるので」
忍坂姫はそれを聞いてかなり驚いた。その話しは初耳である。
「えぇ~稚田彦って世帯を持たれてたんですか!?」
忍坂姫は思わずその場で叫んだ。
「あの~そんなにそこ驚かれる事ですか」
稚田彦はそんな忍坂姫の反応に、逆に驚いてしまった。
(となると、彼の妻って一体どんな人なんだろう)
「ねぇ、例えばその稚田彦の妻って、どんな人なの?」
忍坂姫はつい気になってしまった。
それを聞いた稚田彦は思わず「ぶっ!」と笑ってしまった。やはり女性はそう言う事には関心があるのだなと思った。
「えっとですね。少し長くなるのですが。前に私の兄弟の話しはしたと思います。それで私の父と、妻の母が実は異母兄弟の間柄になりまして」
(へぇー、そうなのね)
「そして、その彼女は14歳の時に一度結婚をしました。しかしその夫は1年程して流行り病で亡くなってしまいました。
その時の彼女の悲しみは余りに深く、部屋に閉じこもり気味になってしまったんです。
そこで彼女を心配した彼女の親達が、今の大王がまだ皇子だった頃に、彼女を采女として彼の宮に行かせる事にしました。
ただ当時、まだ皇子だった大王は余り女性に感心がなかった事もあり、彼女には絶対に手は出さないと約束して下さいました」
(さすがは瑞歯別大王ね。普通だったらそんな約束そうそう出来ないでしょうから)
「私も一応親戚だったので、彼女の事は気にかけてました。そんなある日、彼女が前の夫を思って泣いてる場面を見てしまったんです。それで何とか彼女を救ってあげられないだろうかと思うようになりました」
「それにしても、稚田彦は本当に剣が強いのね。昨日は別人のように見えました」
忍坂姫は昨日の彼の戦いぶりには本当に度肝を抜かれた。あの雄朝津間皇子が全く敵わなかった相手を、割りと余裕で倒せたのだから。
「まぁ、私の人生も色々ありましたからね。生きていく上で必要だったんです」
前回稚田彦の兄の話しもあったので、きっとこの人も色々とあったのだろう。
「そう言えば、あの大炯と言う人と戦っている時に、自分には守りたい人がいるとか言ってませんでした?あれは、誰の事だったんですか?」
彼は大炯との戦いの時に、自分には守りたい人がいると言っていた。あの言い方からして、瑞歯別大王の家臣だからと言う訳ではなさそうだ。
「あぁ、あれの事ですね。それは私の家族の事ですよ。私には妻と、5歳と3歳になる男の子が2人いるので」
忍坂姫はそれを聞いてかなり驚いた。その話しは初耳である。
「えぇ~稚田彦って世帯を持たれてたんですか!?」
忍坂姫は思わずその場で叫んだ。
「あの~そんなにそこ驚かれる事ですか」
稚田彦はそんな忍坂姫の反応に、逆に驚いてしまった。
(となると、彼の妻って一体どんな人なんだろう)
「ねぇ、例えばその稚田彦の妻って、どんな人なの?」
忍坂姫はつい気になってしまった。
それを聞いた稚田彦は思わず「ぶっ!」と笑ってしまった。やはり女性はそう言う事には関心があるのだなと思った。
「えっとですね。少し長くなるのですが。前に私の兄弟の話しはしたと思います。それで私の父と、妻の母が実は異母兄弟の間柄になりまして」
(へぇー、そうなのね)
「そして、その彼女は14歳の時に一度結婚をしました。しかしその夫は1年程して流行り病で亡くなってしまいました。
その時の彼女の悲しみは余りに深く、部屋に閉じこもり気味になってしまったんです。
そこで彼女を心配した彼女の親達が、今の大王がまだ皇子だった頃に、彼女を采女として彼の宮に行かせる事にしました。
ただ当時、まだ皇子だった大王は余り女性に感心がなかった事もあり、彼女には絶対に手は出さないと約束して下さいました」
(さすがは瑞歯別大王ね。普通だったらそんな約束そうそう出来ないでしょうから)
「私も一応親戚だったので、彼女の事は気にかけてました。そんなある日、彼女が前の夫を思って泣いてる場面を見てしまったんです。それで何とか彼女を救ってあげられないだろうかと思うようになりました」