「あぁ、その話ね」
古麻は稚沙から糠手姫皇女のことを聞かれ、どうやら彼女はその理由を知っていたようだ。
「やっぱり、古麻は知ってるのね」
稚沙も、もし重要なことなら女官として知っておいた方が良いだろうと考える。
そして古麻は少し声を小さくして、彼女に話してくれた。
「それはね、糠手姫皇女の婚姻の話の件よ」
「え、婚姻の話?」
どうやら稚沙が想像していたこととは、少し内容が違っていたようだ。
「今糠手姫皇女は、推坂彦人大兄皇子との婚姻の話が上がってるんだけど、何か少し問題がありそうなのよ。それで炊屋姫様の元に相談をしに来るそうなの」
確かにそういった相談なら、炊屋姫に直接話したいだろうし、ただ余りおおやけにもしたくないだろう。
(なるほど、そういうことだったのね。でも何が問題なのかしら?)
こればかりは、本人に聞かないと全く分からない。
「ただ相手は、推坂彦人大兄皇子でしょう?あの方はとてもみる目麗しい皇子で、とても素敵な方よ。何が問題なのかしら?」
「へぇ、そんな素敵な方なのね。私はその皇子のことは、正直余り詳しく知らないから」
稚沙は小墾田宮の女官になって比較的に期間が浅い。さらにそういった浮いた話には、彼女は余り関心を持ってなかった。
「まぁ、あなたはどうせ厩戸皇子辺りを見ていたのでしょう?」
「そ、それは。厩戸皇子は、今はそうじゃないし……」
稚沙は自分が、元々厩戸皇子を好いていたことを人に余り話していなかった。だが既に数名に知られているので、案外感づいてる人もいるのかもしれない。
「まぁ、そこら辺は余り聞かないでおいてあげるわ。まさか糠手姫皇女も、厩戸皇子の方が良いとかいうんじゃないでしょうね?それなら、推坂彦人大兄皇子を拒む理由にもなるけど」
古麻のいうように、今ここ飛鳥の地において、もっとも注目を集めているのは厩戸皇子である。なので、推坂彦人大兄皇子がどれ程みる目麗しい皇子だったとしても、さすがに厩戸皇子には敵わない。
(そう考えると、私ってそうとう無謀なことをしてたのね……)
そういう意味では、早く諦める決心がついて良かったと彼女は思った。
「あ、ちなみに糠手姫皇女って、今年齢はいくつなの?」
「確か、今年で18歳になっていたかしら?まぁそれなら、そろそろどこかの皇子の元に嫁がせたいとは思うわよね」
稚沙が14歳なので、糠手姫皇女は自分よりも4歳年上になる。それなら婚姻も真剣に考えるだろう。むしろ人によっては早く嫁ぎたいとさえ考えるはずだ。
「なるほど……でも私達がどうこういえる立場じゃないし、今は様子を見るしかない感じね」
稚沙は悶々としていった。彼女的にも、この件に関しては真相が少し気になる所である。
「確か糠手姫皇女は明後日に、ここに来られるそうよ」
「まぁ、本当に近々来られるのね」
「そういうこと。じゃあ、私も仕事に戻るわ。稚沙、あなたも早く戻らないと、目上の女官に叱られるわよ」
古麻のいう通りである。確かにこのまま長居していたら、確実に大目玉を食らわされてしまうだろう。であれば、自分も急いで仕事に戻った方が良さそうだ。
「うん、そうする。古麻も教えてくれてありがとう!」
そういって稚沙は仕事場へと戻っていった。
古麻は稚沙から糠手姫皇女のことを聞かれ、どうやら彼女はその理由を知っていたようだ。
「やっぱり、古麻は知ってるのね」
稚沙も、もし重要なことなら女官として知っておいた方が良いだろうと考える。
そして古麻は少し声を小さくして、彼女に話してくれた。
「それはね、糠手姫皇女の婚姻の話の件よ」
「え、婚姻の話?」
どうやら稚沙が想像していたこととは、少し内容が違っていたようだ。
「今糠手姫皇女は、推坂彦人大兄皇子との婚姻の話が上がってるんだけど、何か少し問題がありそうなのよ。それで炊屋姫様の元に相談をしに来るそうなの」
確かにそういった相談なら、炊屋姫に直接話したいだろうし、ただ余りおおやけにもしたくないだろう。
(なるほど、そういうことだったのね。でも何が問題なのかしら?)
こればかりは、本人に聞かないと全く分からない。
「ただ相手は、推坂彦人大兄皇子でしょう?あの方はとてもみる目麗しい皇子で、とても素敵な方よ。何が問題なのかしら?」
「へぇ、そんな素敵な方なのね。私はその皇子のことは、正直余り詳しく知らないから」
稚沙は小墾田宮の女官になって比較的に期間が浅い。さらにそういった浮いた話には、彼女は余り関心を持ってなかった。
「まぁ、あなたはどうせ厩戸皇子辺りを見ていたのでしょう?」
「そ、それは。厩戸皇子は、今はそうじゃないし……」
稚沙は自分が、元々厩戸皇子を好いていたことを人に余り話していなかった。だが既に数名に知られているので、案外感づいてる人もいるのかもしれない。
「まぁ、そこら辺は余り聞かないでおいてあげるわ。まさか糠手姫皇女も、厩戸皇子の方が良いとかいうんじゃないでしょうね?それなら、推坂彦人大兄皇子を拒む理由にもなるけど」
古麻のいうように、今ここ飛鳥の地において、もっとも注目を集めているのは厩戸皇子である。なので、推坂彦人大兄皇子がどれ程みる目麗しい皇子だったとしても、さすがに厩戸皇子には敵わない。
(そう考えると、私ってそうとう無謀なことをしてたのね……)
そういう意味では、早く諦める決心がついて良かったと彼女は思った。
「あ、ちなみに糠手姫皇女って、今年齢はいくつなの?」
「確か、今年で18歳になっていたかしら?まぁそれなら、そろそろどこかの皇子の元に嫁がせたいとは思うわよね」
稚沙が14歳なので、糠手姫皇女は自分よりも4歳年上になる。それなら婚姻も真剣に考えるだろう。むしろ人によっては早く嫁ぎたいとさえ考えるはずだ。
「なるほど……でも私達がどうこういえる立場じゃないし、今は様子を見るしかない感じね」
稚沙は悶々としていった。彼女的にも、この件に関しては真相が少し気になる所である。
「確か糠手姫皇女は明後日に、ここに来られるそうよ」
「まぁ、本当に近々来られるのね」
「そういうこと。じゃあ、私も仕事に戻るわ。稚沙、あなたも早く戻らないと、目上の女官に叱られるわよ」
古麻のいう通りである。確かにこのまま長居していたら、確実に大目玉を食らわされてしまうだろう。であれば、自分も急いで仕事に戻った方が良さそうだ。
「うん、そうする。古麻も教えてくれてありがとう!」
そういって稚沙は仕事場へと戻っていった。