「稚沙、本当に君の和歌は素晴らしいね」
「ただ今回はちょっと斑鳩宮に寄りすぎてましたね。次回はもっと皇子に喜んでもらえる和歌を作ってみます」
稚沙は少しクスクスと笑いながら、そういった。
「いや、そんなことはないさ。私の持っている七星刀には、北斗七星が刻まれている。私にはとても意味のある星だ」
※七星刀:七星剣
そういって彼は、ふと鞘から七星刀を抜いた。今は夕方どきだが、夜にこの刀を星にかざすと、微かに光を浴びて輝いて見えるだろう。
だが横に稚沙もいるので、彼は七星刀を少し眺めるだけにして、すぐに鞘にしまってしまった。
そんな彼を見てから稚沙はいった。
「私も夜の星を見るのがとても好きです。今度宮の外に出て、星を見に行ってみようかな?もう5月に入り、そこまで寒くもないので」
稚沙はふと「どこで見るのが良いかな〜」と1人で勝手に考えはじめた。
だがそれを聞いた厩戸皇子は、ふと彼女に顔を少し渋そうにしていう。
「稚沙、君が星を楽しみたいのは分かるが、女の子が夜に出歩くのは危険だ。小墾田宮にも見張りはいるが、それでも絶対に安全とはいえない」
彼女はとても素直で明るい娘だが、どうも危機感というものが少し欠けているようだ。
そのため稚沙は、厩戸皇子から見ていても、少し危なっかしいと所があると思われていた。
「あ、そうですよね、すみません皇子」
(私ったら、また勝手なことを考えてしまって……)
稚沙は厩戸皇子の話を聞いて、それまでの弾んだ気持ちがすっかり消えてしまい、その場で落ち込んでしまう。
厩戸皇子はそんなすっかり気落ちした稚沙を見て、少し気の毒に思えた。出来るなら彼女の願いを叶えてやりたい。
「よし、分かった。なら稚沙、私で良ければ一緒について行ってあげるよ。もちろん何もやましいことないが、あとは君次第だよ」
それを聞いた瞬間、稚沙はとても驚いて思わず目を丸くする。
「え、厩戸皇子が一緒に!?」
彼女からしてみれば、これは願ってもないことだ。厩戸皇子と一緒に星が見れるなんて、これほど嬉しいことはない。
(こ、こんな嬉しい話、断る理由なんて全くない!!)
「皇子と見られるなんて、全然嫌じゃないです。むしろ凄く嬉しいです!皇子が嫌でなければ、是非ともお願いしたいです!!」
稚沙はそういうと、嬉しさの余りその場でひらりと回った。そして彼女はとてもウキウキと心を弾ませだした。
「君は親元を離れてこの宮に支えているため、中々信頼出来る大人も余りいないだろうと思ってね。まぁ、今日は良い和歌を呼んでもらえたし。そのお礼ってところかな?」
厩戸皇子もそんな稚沙を見て、まさか彼女がここまで喜ぶとは思わなかったようである。
(厩戸皇子と一緒に、星が見られる……)
稚沙の頭の中は、既に星の事でいっぱいになっていた。
「では、来週また宮に来るから、その時で良いかな?その日は私も小墾田宮に泊まることにするよ」
こうして稚沙は、厩戸皇子と一緒に星を見にいく約束をすることとなった。
「ただ今回はちょっと斑鳩宮に寄りすぎてましたね。次回はもっと皇子に喜んでもらえる和歌を作ってみます」
稚沙は少しクスクスと笑いながら、そういった。
「いや、そんなことはないさ。私の持っている七星刀には、北斗七星が刻まれている。私にはとても意味のある星だ」
※七星刀:七星剣
そういって彼は、ふと鞘から七星刀を抜いた。今は夕方どきだが、夜にこの刀を星にかざすと、微かに光を浴びて輝いて見えるだろう。
だが横に稚沙もいるので、彼は七星刀を少し眺めるだけにして、すぐに鞘にしまってしまった。
そんな彼を見てから稚沙はいった。
「私も夜の星を見るのがとても好きです。今度宮の外に出て、星を見に行ってみようかな?もう5月に入り、そこまで寒くもないので」
稚沙はふと「どこで見るのが良いかな〜」と1人で勝手に考えはじめた。
だがそれを聞いた厩戸皇子は、ふと彼女に顔を少し渋そうにしていう。
「稚沙、君が星を楽しみたいのは分かるが、女の子が夜に出歩くのは危険だ。小墾田宮にも見張りはいるが、それでも絶対に安全とはいえない」
彼女はとても素直で明るい娘だが、どうも危機感というものが少し欠けているようだ。
そのため稚沙は、厩戸皇子から見ていても、少し危なっかしいと所があると思われていた。
「あ、そうですよね、すみません皇子」
(私ったら、また勝手なことを考えてしまって……)
稚沙は厩戸皇子の話を聞いて、それまでの弾んだ気持ちがすっかり消えてしまい、その場で落ち込んでしまう。
厩戸皇子はそんなすっかり気落ちした稚沙を見て、少し気の毒に思えた。出来るなら彼女の願いを叶えてやりたい。
「よし、分かった。なら稚沙、私で良ければ一緒について行ってあげるよ。もちろん何もやましいことないが、あとは君次第だよ」
それを聞いた瞬間、稚沙はとても驚いて思わず目を丸くする。
「え、厩戸皇子が一緒に!?」
彼女からしてみれば、これは願ってもないことだ。厩戸皇子と一緒に星が見れるなんて、これほど嬉しいことはない。
(こ、こんな嬉しい話、断る理由なんて全くない!!)
「皇子と見られるなんて、全然嫌じゃないです。むしろ凄く嬉しいです!皇子が嫌でなければ、是非ともお願いしたいです!!」
稚沙はそういうと、嬉しさの余りその場でひらりと回った。そして彼女はとてもウキウキと心を弾ませだした。
「君は親元を離れてこの宮に支えているため、中々信頼出来る大人も余りいないだろうと思ってね。まぁ、今日は良い和歌を呼んでもらえたし。そのお礼ってところかな?」
厩戸皇子もそんな稚沙を見て、まさか彼女がここまで喜ぶとは思わなかったようである。
(厩戸皇子と一緒に、星が見られる……)
稚沙の頭の中は、既に星の事でいっぱいになっていた。
「では、来週また宮に来るから、その時で良いかな?その日は私も小墾田宮に泊まることにするよ」
こうして稚沙は、厩戸皇子と一緒に星を見にいく約束をすることとなった。